ブロックチェーンが創る「GAFAと違う新世界」 エンジェル投資家の谷家衛氏とダイ氏に聞く

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「今、ある会社と取り組んでいるのが、リハビリテーション技術に生かせる脳波のデータや、先進医療で使うDNAのデータをブロックチェーンで管理しようというものです。こうしたデータはものすごくセンシティブ(取り扱い注意の必要性)なので、病院のサーバーで管理するよりも、自分で管理できたほうがいいわけです。こうしたデータを用いることで、社会的には統計を取ったり、個人的には保険のコストを下げたりするものになるでしょう」(ダイ氏)

そのほか、IoT(あらゆるものがインターネットにつながる仕組み)を用いた農業や金融、不動産、メディアなど、仲介の必要なデータ取り引きの生じる分野であれば、ブロックチェーン技術を大いに生かせるという。本当に実現すると、どうなるのだろうか。

「そもそも、ウーバーやエアビーアンドビーといったシェアリングサービスを提供しているプラットフォーム企業が必要なのかという問題が出てきます。フェイスブックなどのSNSも同じで、分散型のシェアリングサービスやSNSを作れば、間に立つプラットフォーマーは必要なくなるからです」(ダイ氏)

つまり、ブロックチェーンによるビジネスは、これまでのように事業の仕組みを大企業、大組織が動かすのではなく、ユーザー一人ひとりが動かし、コミュニティによって成り立ってゆくものだと、ダイ氏は話す。

途上国でこそブロックチェーンの技術はより生きる

また、先進国はもちろんだが、インフラの整っていない発展途上国でこそ、ブロックチェーンの技術はより生きるという。

「よく日本で金融の専門家の方に『ビットコインってそんなに必要性があるのか』『クレジットカードを使えばいいじゃない』と言われますが、それは自分たちがいる世界だけしか見ていないわけです。たとえば、ベネズエラのインフレ率は2018年6月時点で年4万6000%に達しています。ベネズエラのような国では外貨を交換して資産として貯める手段も乏しく、仮想通貨を買うことができたことで、今まで資産が持てなかった人たちが小口で持てるようになりました。日本だと簡単に資産を持つことができますが、世界には銀行のようなインフラ整備がされていないところがまだあるので、こうした手段で簡単に支払いができたり、個人資産が持てたりする意味合いは大きいのです」(ダイ氏)

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