熊谷が「やっぱりメチャ暑い」決定的な裏づけ 東京と熊谷の日別「最高気温」を比較すると?

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国内観測史上最高気温を更新した埼玉県熊谷市で、汗を拭う女性=7月23日午後(写真:共同通信)

データは東京および熊谷の気温データがそろう過去80年分を使った。前回は元データとして平均気温を使い、2度刻みで色を塗り分けたが、今回は上下の幅が広い最高気温をプロットしたビジュアルであるため3度刻みとした。たとえばその日の最高気温が20度なら水色、35度ならオレンジ色となる。色と温度の対応はビジュアルの下部に記載した。

このヒートマップを見ると、やはり熊谷のほうが東京よりも最高気温の高い日が多い。暑さのピーク時期などの傾向は似ているが、日ごとに見るとおおむね1〜3度ほど熊谷の方が高い気温に達するケースが多いようだ。

なお、前回の記事(東京の夏が「昔より断然暑い」決定的な裏づけ)にも書いたが、長期的に見た気温の上がり幅は最高気温よりも最低気温、夏よりも冬の方が大きい。したがって、平均気温をプロットした前回のビジュアルに比べると時系列的な変化は緩やかに見える。これは熊谷・東京とも共通する傾向だ。

日別平均では東京とほぼ変わらない

このように最高気温に違いがあると、平均気温も熊谷のほうが高いように思えるが、実際には日別平均では東京とほぼ変わらないか、むしろ東京のほうが若干暑い日が多い。熊谷は、関東平野の北側・西側に位置する山を越えて吹き降りる風が気圧により圧縮され温度が上がる「フェーン現象」によって一時的に最高気温が上がりやすい一方、ヒートアイランド化が顕著な東京よりは気温が下がりやすいといった要因が考えられる。

記録的な猛暑が続いた今週の前半までと異なり、直近の数日における首都圏の暑さはいくぶん和らいだように見える。しかし西日本では相変わらず酷暑が続き、首都圏も台風がすぎた後は再び暑さが戻ると見られている。引き続き熱中症や体調管理には注意が必要だ。

【2018年7月26日20時45分追記】 フェーン現象の説明に関して初出時「上空で圧縮された空気が……吹きこむ」としていましたが、訂正しました。

荻原 和樹
おぎわら かずき / Kazuki Ogiwara

2010年筑波大学卒。共著に『プロ直伝 伝わるデータ・ビジュアル術』(技術評論社)。

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