小田急「自動運転バス」で夢見る鉄道新時代 移動から買い物まで「1つのサービス」に

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さて、小田急グループは自動運転バスにどのようなことを期待しているのだろうか。

小田急電鉄の星野社長は次世代モビリティを活用した新たな輸送ネットワークの構築に意欲を見せた(筆者撮影)

「次世代モビリティフォーラム」内で小田急電鉄の星野晃司社長は「(小田急グループは)今後、新しい世代のテクノロジーを生かした新しいモビリティサービスを研究開発し、安全で利便性の高い暮らしやすい生活環境を提供したい」と語り、自動運転バスへの期待と小田急グループとしての意欲を見せた。

神奈川中央交通はバス事業者として、自動運転バスについて次のような期待を寄せる。「自動運転技術を活用して交通事故の防止、抑止に期待したい。また、今後高齢化が進むとより細やかな輸送サービスが求められてくるが、自動運転が補ってくれる部分もあるだろう。そして全国的な問題だが、バス運転手が不足しており、その解決手段としても期待している」(神奈川中央交通経営企画部事業推進グループ・大塚英二郎課長)。

小田急グループでは今回の慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス構内の実験の他、今年9月にはセーリング ワールドカップシリーズ江の島大会に合わせて神奈川県や江ノ島電鉄とも連携し、自動運転の実証実験を行う。そして、短期的な目標としては湘南台駅から慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの間に自動運転バスを導入することを目指す。

「MaaS」とは何か

さて、次に「多様なモビリティサービスを1つのサービス(MaaS)として利用者に提供」することについてみていこう。

MaaSというのは聞き慣れない言葉だろう。これは"Mobility as a Service"の略で、訳すと「サービスとしての移動手段」となる。実は定義がしっかり定まっている言葉ではないが、筆者なりの解釈での解説を試みたい。

元々"as a Service"というのはIT業界用語だ。例えば"Software as a Service"というものがある。これはSaaSとよばれ、ブログやマイクロソフト社の「Office 365」、グーグルマップのようなサービスを指す。これらの特徴は必要な時に必要な分だけサービスを受けられることで、システムの構築、ソフトウェアのインストールといった煩わしい作業が不要となり、さらにサービスによっては使った分だけ課金されるというものだ。

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