ディズニーシー大拡張、2500億円投資の勝算 「アナ雪」など題材にした新エリアが開業へ

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『アナと雪の女王』をテーマにした新エリア(画像:オリエンタルランド)

実際、現在のアトラクション数はTDLが42に対して、TDSは35。内訳は開示されていないものの、入場者数でもTDLのほうが勝る。新エリアの開業によってTDSの入場者数をTDLと同じ水準に引き上げたいというのが、OLCの狙いだ。

新設するアトラクションは、「幅広い層のゲストに楽しんでもらえるように、スリルライド(絶叫マシン)は入れていない」(加賀見会長)という。TDLと比べて来場者の年齢層が高いTDSにファミリー層向けのアトラクションを追加することで客層を広げ、効果的な集客増を狙うものとなっている。

大規模な資金調達は不要か

他方、資金面については、2500億円という巨額投資とはいえOLCの財務状況にかんがみるとそれほど無理のある規模ではない。2018年3月末時点で、OLCは3000億円弱の現預金を保有。さらに、年間の事業活動によって800億円程度のフリーキャッシュフローが生まれることを考えると、大きな資金調達をする必要性は少なそうだ。

会見の場に出ることの少ないオリエンタルランドの加賀見俊夫会長兼CEOが出席した(写真:大澤 誠)

OLCにとって重要なのは、大規模投資を継続することで限られた敷地の中で顧客の満足度や体験価値を上げ、集客の拡大と物販や飲食、宿泊も含めた顧客単価の上昇につなげることにほかならない。

「ディズニーランドは永遠に完成しない」というウォルト・ディズニーの言葉を引用した加賀見会長。足元で好業績を謳歌する“夢の国”だが、今回の大規模拡張プロジェクトで顧客満足度の引き上げにつなげることはできるか。

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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