ポストフェイスブックは「直接流入」の時代だ パブリッシャーたちに光明が差している

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モバイルがデスクトップを上回るのは必ずしも悪いことではない。かつて、モバイルの広告料はデスクトップよりも低かったが、いまでは同等になりつつある。

たとえば、エンターテインメントサイトであるランカーでは、モバイルのプログラマティック広告の価格がデスクトップの広告料を上回っていると、同サイトのCEO、クラーク・ベンソン氏はいう。

直接トラフィックの重要性

個々のパブリッシャーに目を移すと、各社は直接訪問の読者を増やし、Facebook依存から脱却すべく取り組みを進めている。たとえば、デイリービーストは、トップページへのトラフィックを前年比30%増加させ、全トラフィックの約40%を占めるまでになった。これは、トップページの掲載記事数を減らし、新たなニュースレターを創設するといった取り組みの成果だという。LGBTサイトのピンクニュースは、Facebook受けする記事よりも硬派な記事に力を入れたことで、直接のトラフィックを30%増加させた。スレートのプレジデント、ダン・チェック氏は、新規読者の獲得が難しくなるなか、ここ数年読者エンゲージメント強化に向けた取り組みを行ってきた成果が出たと述べる。

直接トラフィックの増加は、パブリッシャーが自らの運命を自分の手に取り戻すことを意味する。読者の閲覧履歴のデータが増え、それによりターゲティングの精度が上がり、関連コンテンツやサブスクリプションの案内など、読者売上につながるオファーを提示できるようになるからだ。

女性向けライフスタイルサイト「ポップシュガー」でプロダクトマーケティング・営業戦略担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるクリス・ジョージ氏は、「直接トラフィックは非常に重要であり、ブランド力の指標だ」と述べる。同サイトは全トラフィックの70%がモバイルで、現在はこのうち33%を直接トラフィックが占める。「eコマース、ブランド拡張、有料イベントなどを通じた読者売上の獲得をめざすうえでは、サイトを直接訪問する読者のコンバージョン率がもっとも高いと見込まれる。こうしたオーディエンスを増やすことで、ブランド力を高め、売上の多角化を実現できる」と、ジョージ氏は語った。

Lucia Moses(原文 / 訳:ガリレオ)

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DIGIDAY[日本版]編集部

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