外国人が続々巡礼、江戸川橋の「祈りの場」 東京カテドラル聖マリア大聖堂を360度紹介!

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この大聖堂には1981年に来日したローマ法王ヨハネ・パウロ二世も訪れている。聖堂内には、日本にキリスト教を伝えた「フランシスコ・ザビエルの胸像」、ローマ法王「ヨハネ・パウロ二世の御血」などの聖遺物、ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂にあるミケランジェロ作のピエタ像の原寸大レプリカなどが安置してあり、カトリックならではの信仰のあり方について改めて認識を得る。

また、大聖堂の入口に面した敷地内にはフランスの聖母マリア出現の聖地「ルルドの洞窟」を模したルルドもある。これは1911(明治44)年にフランス人宣教師ドマンジェル神父によって建てられたものということだが、東京のこの場所にも「ルルド」が存在していることに驚く。

大聖堂入口そばにあるルルド(写真:編集部撮影)

海外から多くの巡礼者がやってくる

東京カテドラルは日本国内でも中心的な教会ということで、洗礼を受ける信徒の数も、国内外から巡礼にやってくる信徒も多い。近年はフィリピン、ベトナム、インドネシアなどアジア諸国からの来訪者が増えているという。取材時にも海外からやってきたと思われる西欧人の信徒たちが祈りを捧げている姿を見かけた。

月曜から土曜の朝7時からのミサは、大聖堂ではなく、地下聖堂で行われている。地下の聖堂・納骨堂は、地上の大聖堂の空間とは完全に遮蔽されず、地上階の光や音が自然に入ってくる構造になっていて、大聖堂内で行われるミサの祈り、パイプオルガン奏楽なども地下納骨堂に聞こえてくる。

その地下聖堂は、地上の大聖堂に比べるとひっそりとした佇まい。正面の祭壇には地上からの自然光が入り、地下にあるとは思えない雰囲気だ。大聖堂の設計者である丹下健三は、亡くなる2年前に洗礼を受け、その葬儀もこの教会大聖堂で行われた。今もカトリック信者としてこの大聖堂の地下の納骨堂に眠っている。

永遠の眠りにつく場所として自作であるここの場所を選んだということで、丹下建築のなかでも特に重要な作品だと思える。ここに丹下作品の見学を目的に訪れた人は、たとえカトリック教徒でなくても、信仰についての思索の時を持つことだろう。

鈴木 伸子 文筆家

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すずき のぶこ / Nobuko Suzuki

1964年生まれ。東京女子大学卒業後、都市出版『東京人』編集室に勤務。1997年より副編集長。2010年退社。現在は都市、建築、鉄道、町歩き、食べ歩きをテーマに執筆・編集活動を行う。著書に『中央線をゆく、大人の町歩き: 鉄道、地形、歴史、食』『地下鉄で「昭和」の街をゆく 大人の東京散歩』(ともに河出書房新社)『シブいビル 高度成長期生まれ・東京のビルガイド』(リトル・モア)などがある。

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