残念!話題の「バターコーヒー」は健康に悪い 「エセ健康情報」に騙されないための基礎知識

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ココナッツオイルも同様の問題があります。ココナッツオイルも悪玉コレステロールの値を上げることが複数の研究で明らかになっています。現在では、ココナッツオイルはバターほど健康に悪くないものの、オリーブオイルほどは健康に良くない油と考えられています。

グルテンフリーは人間でのエビデンスはない

――これも一時期ブームになりましたが、グルテンフリーはどうでしょうか。

最近では、テニスのノバク・ジョコビッチ選手など、海外のアスリートたちが取り入れているということでも話題になりましたが、グルテンフリーで健康になれるというエビデンスはありません。

セリアック病という珍しい病気を持っていないのなら、グルテンフリーにする健康上のメリットはないと今のところ考えられています。

グルテンフリーとは、小麦や大麦に含まれるたんぱく質の一種であるグルテンを抜いた食事のことを指します。元々はセリアック病と呼ばれる病気を持った人がグルテンを摂取すると下痢を起こすため、セリアック病の人でも食べられるように開発されたものです。

小麦の代わりに米粉やでんぷんを使ったグルテンフリー食品は、これまでセリアック病の人が対象でしたが、アメリカではセリアック病でない人も「健康に良さそう」というイメージから好んで食べるようになっており、ビジネスの観点から新たな成長分野として注目を集めています。

アメリカにおいて、セリアック病がないにもかかわらずグルテンフリーにしている人はここ4年で3倍以上に増えていると報告されており、2013年にはアメリカ人の30%近くが食事に含まれるグルテンの量を減らす努力をしていると報告されているほどです。

これはグルテンがセリアック病の人だけでなく、正常な人においても腸管の炎症を引き起こすのではないかという仮説から来ています。たしかにネズミにおいては、グルテンを投与することで炎症が起きるという報告や、食事中のグルテンを制限することで糖尿病を予防することができたという報告もありますが、人間においてグルテンが健康に悪影響を及ぼすという科学的根拠はありません。

世の中にはセリアック病ではないものの、「グルテン過敏症」や「小麦過敏症」と呼ばれる人もいて、これらの人はグルテンを摂取すると下痢をしたり体調不良になるという説もあります。

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