埼玉地場スーパー「ベルク」、快進撃続く理由 既存店売上高は「60カ月連続」で前年同月超え

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つまるところ、ベルクは全店統一の店舗オペレーションを徹底することで、品質やサービスの均質化を図っている、というわけだ。

「『ベルクならばどこの店に入ってもハズレがない』という安心感を顧客に持ってもらいたい。コンビニでも、たとえ同じ系列であっても日頃から利用したい店とそうでない店がある。明るい雰囲気、居心地のよさ、床や棚が汚れていないなどを顧客は無意識にとらえて、店を選別している。ベルクは全店が『何となく雰囲気のよい店』になることを目指している」と、小達真・経営企画部長は強調する。

創業以来、閉店したのは2店だけ

オペレーションの統一により規模のメリットが発現し、商品の販売価格も安くできる。「やるとなったらやる」(小達部長)と、特売品に指定した商品はチェーンを上げてセールする。特売品だけでなく、日頃から特に購入頻度の高い牛乳や食パン、豆腐、納豆などは競合店に負けない価格を設定。低価格を訴求するために、PB(プライベートブランド)の開発も強化している。

安売りに定評があるベルク。特に牛乳は競合店より安いと、もっぱらの評判だ(記者撮影)

並行して、既存店のブラッシュアップに全力を注いでいることもあり、年間の出店は既存店舗数の5~10%程度(2019年2月期は5出店を計画)を目安にしている。埼玉県北部に所有する2つの物流センターが有効に機能する関東エリアに集中出店していく方針だ。一方で、撤退する店舗は極めて少なく、1959年の創業からこれまでに閉鎖したのは2店舗しかない。

チェーンストアの原点ともいえる標準化を愚直に推進することで順調に収益を積み上げてきた同社だが、今後の経営は決して安泰とは言い切れない。とりわけ、スーパー業界の人手不足は深刻で、ベルクもパートスタッフが足りずに派遣社員で補うケースがある。同社の人件費は年々上昇傾向にある。

今後は、現在30店舗に設置しているセミセルフレジを今後も積極的に各店舗に導入し、さらなる生産性向上を狙って既存店の改装も継続する構えだ。ベルクの快進撃はどこまで続くか。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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