台湾が“人民元化”で狙う、ポスト香港の座 人民元経済圏に飛び込む、台湾の思惑

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台湾人は人民元投資で頭がいっぱい

3年前まで台湾にいた時期、会社から送金される給料は米ドルだった。多少、貯まった分をリスクがほとんどない米ドル建ての保険商品にして寝かせておいた。今度、その保険商品が満期になったので、銀行からはどうしますかと聞かれ、逆にどうしたらいいのかと聞くと、「米ドルもすっかり低金利です。今は人民元がいいですよ」と売り込んできた。

人民元の投資などしたことがなかったが、興味半分で話を聞いてみると、「預金もいいですが、金利は2%ぐらいです。それよりもいい商品があります。これは1年以内に米ドルに対して人民元の値上がりが0.7%以上だったら金利は6.7%になり、もし0.7%以下でも金利0.5%がつきます」という話だった。

金融音痴なので、どんな理屈でそんな商品が出来上がるか説明を受けたが、ちんぷんかんぷんだった。ただ、人民元は継続的に米ドルに対して切り上がっていくという一般的な理解はあったので、たぶん大丈夫じゃないだろうかということで、結局、手元の米ドルは人民元に生まれ変わった。

この金融商品が成立する理屈や、私の判断の是非はとりあえず置いておいて、ここで言いたいのは、今、台湾人は、こんな金融商品から普通の定期預金まで、とにかく人民元を買うことで頭がいっぱいになっているのである。

時代が変わったものだなと思う。

台湾ドルの100元札と、人民元の100元札は、同じ紅色で外観がよく似ている。価値でいえば、人民元の1元は台湾ドルの5元弱なのだが、10年ぐらい前までは、台湾でまったく使うことができない人民元は偽札扱いだった。台湾のお店で間違って人民元の100元札を出したら、犯罪者のような目で見られてお札を突き返されたことを思い出す。

それが今は、人民元の100元札は台湾ではちょっとした高額紙幣扱いである。

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