「都市型仏壇」が売れるようになった発想転換 最初の商品はわずか3台しか売れなかった

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洋間に合う現代仏壇(写真:八木研)

今回は、直営店18店舗、提携専門店100店舗で都市型仏壇を販売。現代仏壇の先駆者とされる八木研を取り上げます。売上高22億円、従業員130名(いずれも2017年度)、本社を大阪市東成区に置く仏壇・仏具メーカーです。

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創業は1932年、元々は研磨剤のメーカーでした。仏壇や仏具をその研磨剤で磨いていたことから、自然と仏壇・仏具業界へ。日本古来の金仏壇、唐木の荘厳な仏壇等を扱っていました。

しかし今から40年ほど前、家が西洋化しているのに仏壇は変わらない、それならば洋間に合う仏壇を作れないか、と現社長・八木龍一氏の父親(八木達郎氏)が考えました。

最初の都市型仏壇「自由仏壇」は惨敗

畳から絨毯、そしてフローリングへ変わり、和室のない家も珍しくありません。また、核家族化や少子化が進んで実家の大きな仏壇を引き継ぐのも難しくなっています。そうした世の中の流れに沿った現代型仏壇を作ろうと思ったのです。

そして1984年、外は家具、中は仏壇という「自由仏壇」を発表します。“自由に祀る”を標榜し、キャッチフレーズは“扉を開ければ荘厳の世界”でした。当時、ホテルで発表会もやり、歌手の園まりさんを起用して、大プロモーションを展開。費用もかなりつぎ込みました。しかし、生産した500台のうち1年間で売れたのはたったの3台。大きな挫折を味わいます。

この「自由仏壇」、仏壇屋からは“仏壇ではない”と言われ、家具屋からは、“家具にしたら高い”と言われました。こんな仏壇に魂を入れられない、と言うお寺もありました。

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