「引っ越し難民」を救う物流ベンチャーの威力 スマホアプリで引っ越し当日でも依頼が可能
東京23区内での単身引っ越し料金が5000円を切った――。うそのように聞こえるかもしれないが、本当の話だ。
3月上旬の平日、東京の渋谷区から板橋区へ、距離にして十数kmの引っ越しにかかった料金だ。引っ越しをしたのは日本への留学生。荷物はスーツケースや布団袋、本など軽ワゴン1台分で大きな家電や家具はないが、れっきとした単身引っ越しだ。
破格の引っ越しができたのはなぜか。今回の引っ越しは、物流ベンチャー「CBcloud(クラウド)」が手掛けるスマートフォンアプリ「ピックゴー(PickGo)」が仲介した。クラウド上で、引っ越しをしたい個人と仕事を求める軽貨物ドライバーをマッチングする。軽貨物ドライバーとは、貨物軽自動車運送事業の免許を持ち、軽ワゴンや軽トラックで荷物を運ぶ個人事業主を指す。
引っ越し依頼主とドライバーが直接交渉
ピックゴーでは、引っ越しをしたい人が日時や場所、荷物の種類や量を入力してドライバーを募集する。仕事を受けたい軽貨物ドライバーは希望の料金やコメントとともにエントリーする。応募してきたドライバーとは、メッセンジャーアプリ「LINE(ライン)」でのやり取りのように個別に料金交渉をすることができる。料金は原則5000円からだが、依頼主とドライバーが合意すればそれ以下も可能だ。アプリでは荷物の写真を投稿することもできるため、実際に見積もりに来てもらう必要はない。軽ワゴンには合計350kgまで荷物を積める。
冒頭の引っ越しでは、留学生の知人が引っ越し前日にアプリで募集をかけたところ、わずか5分でドライバー5人からエントリーがあった。留学生の知人によれば、1万円ほどの料金を提示してきた人もいたが、最終的には料金の安さとドライバーの評価で決めたという。ドライバーは普段は企業の荷物配送を請け負っており、荷主が5段階でつけた評価の平均を見ることができる。「料金が安く、すぐに決まったので本当に助かった」と留学生の知人も満足げだ。
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