アメリカの毒を食らう人たち ロレッタ・シュワルツ=ノーベル著/東出顕子訳

拡大
縮小
アメリカの毒を食らう人たち ロレッタ・シュワルツ=ノーベル著/東出顕子訳

アメリカの環境汚染と健康被害についての告発の書である。子供と母性を中心に被害実態を丹念に追跡し、産官学、政界の利益追求体質を厳しく糾弾している。書名からは食の汚染本かと思うが、大気汚染、タバコ、マンモグラフィ、予防接種の弊害にも詳細に言及していて、原題のPoisoned Nationのほうがイメージは近い。

アメリカ人がツナ缶詰を大量に食べるために食物連鎖による水銀被害を受けやすい話など、特定の食品、化学品に偏ることのリスクも浮き彫りにされる。

被害者の声をここまで集めたのは強い使命感からだろう。病気と「毒」の因果関係がすべて著者の言うとおりなのか、危機感をどのレベルまで共有できるか、見方は人によりさまざまだろうが、その警告には傾聴すべき点が多く、徹底検証が待たれる。アメリカの政界や宗教界の一部に強い問題意識をもって臨む動きが確実に見られるという指摘にはわずかに救われた。(純)

東洋経済新報社 1995円

詳しい紹介ページはこちら
Amazonで見る
楽天で見る

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT