グーグルが「自動撮影カメラ」に託すAI戦略 子育て中の親世代やペットの飼い主が対象

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新しいガジェットの一つ一つが、顧客をより深くグーグルのサービスに引き込むように作られている。それはグーグルが、アップル<AAPL.O>やアマゾン<AMZN.O>、フェイスブック<FB.O>と、娯楽・ショッピングにおいて首位の座を争う上で欠かせないことだ。

グーグルは、新製品ごとに狙いを先鋭化させている。同社はクリップスの投入により、優しくAIに触れさせることで、写真好きな層を捕まえようとしている。

「こうしたカメラを置くことで、録画をいちいちチェックすることなしに、家の中で起きていることを把握できるようになる。家庭用ビデオの市場はこの方向に動いている」と、金融データ会社IHSマークイットのブレーク・コザク氏は言う。

さまざまな機種のデジタルカメラがあふれた市場で、クリップスがヒットする可能性を疑うアナリストもいる。利用目的が限られている割には、価格設定が高すぎるかもしれない。

また例えば、ペット見守り用カメラの「ペットキューブ」は、遠隔操作などのより多くの機能を備えている。音声がないことや、短いバッテリー寿命、プライバシーを巡る懸念なども、クリップスのアピールをより限定的にするかもしれない。

グーグル技術の進展ぶりを示す重要な製品

だがそれでも、この新商品は、対象の検知に特化したAIの一種である「コンピュータービジョン」におけるグーグル技術の進展ぶりを示す重要なものだと、ハードウエアのスタートアップ企業を支援するHAXの創業者、シリル・エバースワイラー氏は言う。

「音の次に来るのは、コンピュータービジョンだ。グーグルとしては、何もしないわけにいかない」と、エバースワイラー氏は語った。

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