野菜高騰で「サラダ総菜」販売が急増する実情 「RF1」「成城石井」では総菜売り場の活況続く

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野菜高騰は販売にプラスの側面があるとはいえ、仕入れ面では各企業の利益を圧迫する要因となる。

ところが、ロック・フィールドは昨年5月~今年1月の累計で売上原価率が41%と、前年同期の40.8%に比べてわずか0.2ポイントの悪化にとどまっている。同社は顧客離れを起こす商品値上げを重視するのではなく、スケールメリットを生かした調達面の工夫で利益の押し下げを緩和している。

ロック・フィールドは年間を通して安定して野菜を仕入れるために、全国各地の農家と契約。たとえば、サラダの要ともいえるレタスは、5月末から10月ごろまでは山梨や長野、岩手、北海道から、そして10月末から5月ごろまでは茨城や静岡、九州地方から調達している。

契約農家との関係を密に

各地からの年間仕入れ量や価格は事前の契約で決まっているので、直近の野菜価格高騰の影響を受けにくい。自然災害などを理由に、ある地域で野菜が突然不作になったとしても、別の地域からの調達でカバーできる。

ロック・フィールドが展開する「神戸コロッケ」。独自のジャガイモ管理方法で仕入れ量を十分に確保できる体制を整えている(記者撮影)

「(RF1など全ブランドで合計約320店舗を持つロック・フィールドは)調達のボリュームが大きいので、産地直送網を広げることができる。加工工場や物流網などサプライチェーンも整っており、野菜高騰にも柔軟な対応ができる」と、総菜業界の関係者は指摘する。

ロック・フィールドは調達の規模が大きいだけでなく、契約農家と長期的な関係を構築するために、きめ細かな連携策も展開している。

入社1~3年目の若手社員は産地で研修を受け、収穫などの作業を体験する。その一方で、1年に1回のペースで契約農家を自社工場に招き、ジャガイモの芽を取る作業やサラダの加工工程を見学してもらう。

さらに、農家と共同で、品種改良や作業改善に取り組むこともある。北海道端野町の契約農家とは、「雪中備蓄」という独自のジャガイモ管理方法を構築。雪を利用して倉庫内の湿度を適切にコントロールし、ジャガイモの寿命を保つ方法で、この長期備蓄の効果により、昨年冬から春にかけてのジャガイモ不足の際も十分な仕入れ量を確保することができた。

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