昔は輝いていたが…「残念な特急列車」10選 競争激化や観光衰退などで苦戦強いられ…

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7)「スーパー北斗」(函館―札幌)

特急列車の進化は高速化の歴史でもある。JR北海道の看板列車のひとつである特急「スーパー北斗」も、かつて同区間の列車名が「おおぞら」であった頃、4時間あまりかかっていた所要時間を短縮し続けてきた。

東室蘭駅付近を走る函館行き「スーパー北斗」(筆者撮影)

国鉄からJR北海道にかわった頃は3時間半、その後、3時間を切り2時間59分で函館―札幌間を走破する列車が登場し、表定速度が在来線最速の時速106kmとして話題になった。しかし、近年の相次ぐ車両トラブルにより減速運転を余儀なくされ、現在、ほとんどの列車が3時間40分台へと後退してしまった。

また、保線状態がよくない区間が散見されるため揺れもひどい上、車両故障やトラブルで運休や遅延が発生することがたびたびある。すべてがJR北海道のせいではなく、やむを得ない事故もあるとはいえ、不安定輸送は鉄道利用を敬遠させることにもなり、マイナスとなっている。

それにしてもJR北海道は、スーパー北斗の速達運行をすっかり諦めてしまったかのようにも思える。北海道新幹線札幌延伸まで、現状のままで済ますつもりだとしたら、これは怠慢ではないだろうか? それくらいだったら、一部で提案されているように倶知安あたりまで早期に(といっても2025年以降の話だが)新幹線の部分開業を行い、長万部あるいは倶知安での特急乗り継ぎにより、結果として所要時間短縮を行うのが最善策かもしれない。

いずれにせよ、北海道の看板特急なのだから、その名に恥じないよう一刻も早く汚名を返上してもらいたいものだ。

いつの間にか3往復に減便

8)「つがる」(青森―秋田)

3往復に減便された特急「つがる」(筆者撮影)

青森―弘前間は、かつては優等列車が頻繁に走っていた。現行の「つがる」以前は、「白鳥」「いなほ」「たざわ」と様々な愛称を掲げた優等列車が2時間に1本は行きかう幹線だった。夕方になるとブルートレイン「日本海」「あけぼの」もあり、この区間では寝台を座席として使う「ヒルネ」と呼ばれる利用も可能で、変化に富んだ列車旅が楽しめたのである。

しかし、いつの間にか「つがる」の本数は削減され、今や1日3往復にすぎない。利用率が芳しくなかったからであろうが、時間帯によってはオールロングシートの701系に乗らなくてはならないと思うと、気が滅入り、足が遠のく区間である。

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