日本航空電子、防衛省から9カ月の指名停止処分 過大請求が発覚するのは2度目だ

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コネクター中心の電子部品メーカー、日本航空電子工業は10月4日、防衛省向けの航空機関連事業で作業時間の付け替え等による費用の過大請求があったことを公表した。

防衛省広報室によると、現時点で発覚しているのは2010~2011年に発注したF2航空機向け部品の整備案件など5件。過大請求額は1600万円程度だが調査は継続されており、案件、過大請求額ともにふくらむと見られる。日本航空電子工業は、全体の案件が明らかになり次第、あらためて過大請求の総額を開示する方針。防衛省はこれにともない、日本航空電子を2014年7月3日まで9カ月間の指名停止処分とした。

防衛省の発注案件では、2012年にも三菱電機による総額374億円の過大請求など数件の過大請求が発覚。防衛省では再発防止のために過去の案件の調査を強化している。

1998年にも約63億円の過大請求

日本航空電子の防衛省向けの年間売上高は航空機関連部品や整備・修理対応等を中心に50億~70億円程度。全体売り上げ約1300億円のうち8割は民生向けのコネクターで、防衛省向けビジネスの構成比はそれほど大きくはない。2014年3月期業績に与える影響は限定的だ。

しかし、同社は1998年にも防衛省向けに総額約63億円の過大請求が発覚した経緯がある。再発を防げなかったコンプライアンスの不備が問われることになりそうだ。

 

写真:Photoshot/アフロ

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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