平昌五輪の高視聴率で露呈したテレビの苦境 民放各局のテレビマンは決して喜んでいない

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だからテレビマンたちは、平昌五輪中継の高視聴率を見るたびに、「やっぱり生放送は強いな」「本当は生放送のバラエティも作ったほうが良いけど、できないんだよ」などと思っているのです。

低視聴率の汚名をセルフフォローできない

平昌五輪中継の高視聴率で、もう1つ見逃せないのは、テレビ業界のセルフフォローが機能していないこと。平昌五輪中継が放送されている間、他番組の視聴率は大幅にダウンしていますが、これに対するセルフフォローがまったくないのです。

なかでも、もともと録画率の高いドラマはダメージ大。開会式(NHK)が視聴率28.5%を記録した9日の「アンナチュラル」(TBS系)は9.0%。男子スキージャンプ個人ノーマルヒル(NHK)が20.7%を記録した10日の「もみ消して冬」(日本テレビ系)は7.1%。女子カーリング(NHK)が13.8%を記録した15日の「隣の家族は青く見える」(フジテレビ系)は4.6%。スピードスケート(テレビ朝日系)が22.5%、スキージャンプ団体戦(NHK)が14.0%、女子カーリング(日本テレビ系)が11.3%を記録した19日の「海月姫」(フジテレビ系)が5.0%(すべて関東地区)。それぞれ最低視聴率に大幅に更新しました。

「面白くないから見ない」のではなく、「五輪中継はリアルタイム、ドラマは録画」と使い分けているに過ぎないのに、連日フィーチャーされるのは低視聴率ばかり。せめて平昌五輪の期間だけでも録画視聴率を積極的に公開すればセルフフォローにはなるのに、スポンサーの手前などもあって、それすらできないのです。

低視聴率のセルフフォローができない以上、「五輪は面白いけどテレビはつまらない」「テレビ番組なんてこんなもん」などの悪いイメージは膨らむ一方。あるドラマのスタッフに話を聞いたら、「低視聴率が報じられるたびに悔しいし、撮影現場の士気も下がってしまう」、ある中堅俳優も「本音を言えば悲しいですが、自分のできることをやるだけ」と嘆いていました。

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