「五輪マネー」が不祥事多発でも揺るがぬワケ 欧米都市が消極的な中でアジアがけん引
IOCの最高位スポンサーは、アジア企業が徐々に米企業に取って代わりつつあり、現在では、中国インターネット通販最大手アリババ<BABA.N>や、日本のタイヤ大手ブリヂストン<5108.T>、トヨタ自動車<7203.T>などが名を連ねている。
IOCの最高位スポンサー13社のうち、古参の韓国サムスン電子<005930.KS>と日本のパナソニック<6752.T>を含む5社がアジア企業だ。最高位スポンサーの仕組みは、IOCが財務破綻しかけた数年後の1985年に、両社と共に導入された。
「アジアの関心はわれわれにとって非常に重要だ。韓国と中国は巨大な新興市場だし、日本はわれわれの本国だ。だからアジアシフトはブリヂストンにとってとても好ましい」と、ブリヂストンで米州のスポーツ・イベントマーケティングを担当するフィル・パクシ副社長は言う。
もろ刃の剣
しかし、五輪とアジアとの関係の深まりは、特に米国市場でIOCの立場を複雑なものにしている。
米国では2002年のソルトレークシティー冬季大会以来、五輪が開催されていない。2014─32年の米国での放映権料のために親会社が120億ドル以上出したNBCは、自国開催を次のロサンゼルス夏季大会が開催される2028年まで待たされることになる。
米国オリンピック委員会は、3連続アジアで開催される五輪の第一弾である平昌大会を前に、国内スポンサー数社を失っている。
現段階では、IOCは財務的に良好な状態にあり、その状態を維持するためにアジアへの依存を深めつつある。IOCは、収入の9割を世界のスポーツ振興に充てているとしている。
「(IOCを)取り巻く政治状況にかかわらず、五輪はまだわれわれにとって非常に価値のあるものだ」と、最高位スポンサーの1つビザ<V.N>の韓国マネジャー、イアン・ジェイミソン氏は話した。
(Karolos Grohmann Liana B. Baker翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)