崖っ縁の大塚家具、見えない「復活への道筋」 大型店不振が深刻化、過去最大の営業赤字に

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さらに、会社側が強調するのが法人営業の強化だ。2020年の東京五輪に向けて建設ラッシュが続くホテルからは引き合いが強く、受注残も積み上がっているという。少子高齢化で新築住宅の供給が弱含みする中、久美子社長は、高齢者施設やサービス付きマンションを含め、将来的には法人経由での事業を拡大する可能性についても言及した。

コスト削減も、いずれ限界

とはいえ、現状でホテルや企業応接室など法人を対象としたコントラクト部門の売り上げは全体の5%にすぎない。通常の店舗販売と比べ利幅も薄いため、利益貢献はごくわずかだ。前年割れが続く店舗の売り上げの成長戦略を描けないかぎり、大塚家具の立て直しは厳しさを増す。

大塚家具は店舗の成長戦略をどう描くのか(編集部撮影)

実際、2018年12月期の会社側の計画でも、ECなどを除いた既存店舗の売り上げは若干減を見込んでいる。賃借料や人件費をはじめとしたコスト削減効果も、いずれ限界が訪れる。

「大きな事業構造を変えていくときには一定の時間がかかる。途中で中断するのがいちばんまずい。それが実際に起きてしまったのが(父娘で経営権を争った)3年前。最後までやり遂げることが重要だ」。久美子社長は、自らが進める改革の方向性は間違っていないと自分自身に言い聞かせるように、そう強調した。

3年前に115億円あった現預金は18億円にまで減少し、まさに瀬戸際に立たされている大塚家具。成長できる店舗の将来像を明確に打ち出せない中、危機をどう乗り切るのか。改革の成否を判断するための時間はほとんど残されていない。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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