こんな日本でよかったね 内田樹著

こんな日本でよかったね 内田樹著

構造主義的に今の日本を見たらどうなるか、というエッセイ集。今回も縦横無尽、当たるを幸い世間の常識を切りまくりファンを喜ばせている(らしい)。構造主義の立場からいえば、世界はいかなる賢者であろうとも自分が思うようなものであるはずがなく、歴史を見る目だとか論理や言葉の使い方が世間一般並みの軽さでよいわけもない。

世相そして現代社会の病根を、抽象と具体をない交ぜにしつつ、時に軽妙、時に難渋に描写しえぐってみせる筆さばきはなかなかに魅力的。議論の対象は格差社会、少子化、愛国心、人々の不快感、言論の自由から日本辺境論まで多彩でどれも興味深い。 

「人は『愛国心』という言葉を口にした瞬間に、自分と『愛国』の定義を異にする同国人に対する激しい憎しみにとらえられる」。まさにそうだ。一見、暴論のような主張から、自分の立ち位置を教えられ、目からうろこの一角が落ちることがあるかもしれない。 (純)

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