デンソー社長「変なEVを乱立させたくない」 トヨタ、マツダとEV合弁を設立した狙いとは

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完成車メーカーがいい車をたくさん造ろうとしたとき、車を造りやすくしておくのがプラットフォームだ。標準化したものがないと自動車業界は大変になる。一品一様の車では工数や時間がかかり、価格も高くなり、結果的に購入者の負担になる。そうならないようにすることが要求されている。

真っ当なEVを造っていく

──2017年9月には、トヨタ自動車とマツダとEV(電気自動車)モジュールの合弁会社を設立しました。今の話とも関係しますか?

関係する。「こういうふうにすればいいEVができるよね」というのが標準モジュールだ。そこにデンソーが参画しているのは、単に部品供給をするという側面だけではない。EVでは熱エネルギーマネジメントが必要不可欠であり、当社にはその知見がある。標準プラットフォームにしたいという要請もあり、新会社に入った。

有馬浩二(ありま こうじ)/1958年生まれ。京都大学工学部卒。1981年日本電装(現デンソー)入社。海外駐在後、2008年常務役員、2014年専務役員に就任。2015年6月から現職(撮影:今井康一)

──トヨタ色が強くなると、海外メーカーとの取引で不利にならないですか。

そう思う人はそう思えばいい。本当にいいものを造ることで、「それをちょっと教えてよ」とか「使いたい」とかなるように仕立て上げたい。EVの要素技術の基盤開発会社とはそういうことだ。

EVを造るのにそうとうな開発工数がかかったり、変なEVが乱立しても仕方がない。真っ当なEVをしっかりと効率よく造っていくことが重要だ。

──完成車メーカーに対して、部品メーカーの存在感が増しています。

電動化や自動運転などの領域が増えれば増えるほど、本当に上流段階で一緒に車メーカーと話をして開発する体制でないと、できるものの質やスピードを上げられない。昔のように「このスペックでこう造ってくれ」という時代より、関係が深まっているのは確かだ。

(『週刊東洋経済』1月27日号「トップに直撃」を転載)

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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