「無人化」を目指すトラック隊列走行の現実味 人材難の物流業界は期待と安全面の懸念交錯

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だが、無人化に向けて課題は少なくない。まず現在搭載されているCACCではアクセル、ブレーキの制御は自動化されるが、ハンドルの操作に関しては人が行わなくてはならない。無人化となれば当然、車線の維持や変更が自動で可能なシステムの開発が必要になる。開発だけでなく、トラックメーカーがこうした先進技術を搭載した車両の量産体制を整える必要もある。

国がトラック隊列走行で想定するのは、先頭車以外は無人での走行であり、自動運転のレベルの定義でいえば、レベル3または4程度の技術が必要と考えるのが妥当だ。レベル3や4では特定の場所を走るといった一定の条件で、すべての運転をシステムが行い、自動運転モードでの運転の責任はシステムが負う。

後続車は無人でもレベル2相当

だが、「トラックの隊列走行は後続車が無人の場合でも、レベル2相当と考えている」と、経産省製造産業局自動車課の垣見直彦ITS・自動走行推進室長は説明する。どういうことか?

「トラック同士は物理的には連結していないが、(通信やシステムを通じて)電子的に連結しているという解釈を検討しているから」(垣見氏)という。隊列走行ではトラック同士は離れているものの、たとえばトレーラーやダブル連結トラックのように「物理的に連結している1台のトラック」と考える方向性という。日本の道路交通法が準拠しているジュネーブ条約では「一単位として運行されている車両または連結車両には、それぞれ運転者がいなければならない」と規定されている。3台のトラックを1台と考えれば、この条約に適合する。

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