子どもに英語を習わせる親の「致命的な誤解」 「自分が苦労したから習わせる」は親の言い分

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しかし、そもそも日本のように日常生活でほとんど英語を使用しない環境において、「早くから習えば、苦労することなく英語ができるようになる」ということはありませんし、こうした環境に身を置く日本人の子どもが内容を伴った英語を身に付けるのに、臨界期は存在しないといっていいでしょう。むしろ何歳になっても努力さえすれば英語は身に付けられます。

このように、「早くから習えば、苦労することなく英語ができるようになる」は幻想にすぎません。子どもに英語を習わせるには、どのような学び方をするのか、誰がどのように教えるのかなどといった点を、親がきちんと見極めなければ意味がないのです。

強制的に学ばされると…

とはいえ、親が真剣に見極めたからといって、子どもを無理矢理に習わせても効果はありません。なぜなら、子どもには大人とは異なる学び方があるからです。その特徴は主に3つありますが、親はまずそれを理解する必要があるでしょう。

まず1つ目に、子どもが「これはおもしろそうだ」「これは自分にとって意味がある」と自ら選択したものはスムーズです。アニメの名前をあっという間に覚えてしまったり、サッカーや野球の選手をよく知っていたりといったことはよくあることです。自ら仮説を立てて、外からの働きかけによってその仮説を修正していくことを繰り返すと、子どもの能力はぐんぐんと伸びていきます。

逆に、自分の興味のないことを強制されて学ばされると、嫌がりますし、習得するスピードは遅くなります。埼玉県に住むSちゃん(小1・女子)は、3歳からフラッシュカードを使用して単語を覚えさせるのが特徴的な英語教室に通っているうちに、英語嫌いになってしまいました。小学校に入学する前には、英語を耳にするのも拒否するようになってしまい、お母さんは英語を習わせたことを後悔していました。

子どもは最初は珍しがって参加しても、単語をひたすら覚えるようなカリキュラムだと、自分でおもしろさを見出さず飽きてしまいます。それでも続けて通わされると嫌になってしまうことさえあります。

大人が一から十まで手取り足取り英語を教えることはできません。子どもが興味を持ち、好奇心を持って英語を学ぶといった学び方が重要です。言語は一朝一夕に身に付けられるものではないので、子どもが長期にわたって学び続けることのできるカリキュラムや環境作りが必要なのです。

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