
主催:東洋経済新報社
ゴールドスポンサー:セールスフォース・ドットコム
ロゴスポンサー:アクセンチュア、シー・エヌ・エス、シャノン、日本ビジネスプレス、ヤマノ印刷
主催者挨拶
編集長
山田 俊浩
開会で、東洋経済オンラインの山田俊浩・編集長は、ネットメディアの信憑性が問われた2016年末のWELQ(ウェルク)問題やフェイクニュースの拡散を振り返り、「デジタル、AIの時代だからこそ人間力、編集者の真価が問われると思う」とあいさつした。
スペシャルディスカッションI
ネットメディアは2018年にどう進化するのか
創刊編集長
古田 大輔氏
パネルディスカッションIは、ネットメディア編集長4人が2017年を振り返り、18年の展望を語った。
バズフィードの古田大輔氏は、SNSでライブ配信できるペリスコープ等の流行を受け、総選挙ライブ配信など動画に注力し「訴求力は大きくなった」と説明。医療分野などで信頼性の高い記事を発信する一方、信頼できない情報のチェックにも注力し、若い女性向け特集など、硬軟のバランスに配慮してきた。18年以降は、5Gに向けて動画利用の拡大が見込まれるが、配信できるメディアは限られるので、メディア間の合従連衡が複雑化するとして「魅力あるコンテンツを、どのフォーマットでどこに出すかを真剣に考えなければならない」と語った。
日本版編集長
竹下 隆一郎氏
ハフポストの竹下隆一郎氏は「米のネットメディアのやんちゃさと、オールドメディアの確かさのハイブリッドが2018年のメディアの姿ではないか」と述べた。17年は、PVを追求し、ニュースに追いかけられるのではなく、自分の言葉でリアルな問題を語ろうと社内に宣言し、女性の体、家族の形、性暴力などをテーマに、一人称で書く記事を強化。社会ニーズをよく知る企業とも、立場の違いを守って協業すれば、面白いコンテンツができる、として「両者の関係を強めることで、メディアは問題提起、批判ばかりでなく、社会を変えられる」と期待した。
編集長
阪上 大葉氏
現代ビジネスの阪上大葉氏は、雑誌の減少で優秀な書き手が書く場が減っていると危機感を示し、デジタルの連載の書籍化、頻発する地面師詐欺事件など独自の調査報道強化、ここだけでしか読めない新たな書き手のプロデュース、の3点がメディアの価値を高めるとして「出版社系メディアが強みを持つ部分に資源を投入すべき」と述べた。18年以降は、雑誌からのウェブ参入で「ウェブメディア戦争」が起き、メディア間の記事、スペースの貸借も進むと予測。「24時間の消耗戦を避け、疲弊せずに生き残る方法を皆さんと考えたい」と呼びかけた。
メディアチーフエディター
岡田 聡氏
ヤフーの岡田聡氏は、ニュース動画の24時間ライブ配信など映像領域強化の取り組みに触れ、今後はパーソナライズ技術がユーザー体験向上のカギとの考えを示した。また、専門家が直接寄稿できるヤフー・ニュース個人とオリジナル記事のヤフー・ニュース特集との連携強化、Tポイントでも買える単品記事販売などを説明。メディアを強化してショッピング等も含むヤフー全体を活性化したいと述べた。信頼性問題は「築城20年、落城1日」と社内に訴え、ガイドライン制定等を進め「災害時などに頼れるメディアとなるよう磨きをかける」と語った。
スペシャルディスカッションII
デジタル時代における出版社・編集者の真価
代表取締役社長
野間 省伸氏
出版のデジタル化を積極的に推進してきた講談社の野間省伸氏は「最初は社内外から批判されながら、私が旗振りをしたが、今は面白そうだから、と新しいことを始める社員が出てきた」と、社員の趣味から事業化されたサッカー総合サイト「ゲキサカ」、アイドルなどのVRコンテンツ子会社設立といった動きを紹介。AIも備えた鉄腕アトムのロボットを作る分冊百科にも触れ「ロボットを通じて、どうコンテンツを流すかも考えたい」と述べた。こうした紙から離れた動きに「紙を捨てたわけではないが、データをパブリックにすることがパブリッシング(出版)と考えれば、いろんな出発点、出口があっていいのではないか」と指摘。「いろいろなことをやると、別の面白い話が来る」と続けた。ビジネス目線でも、ウェブメディアのコストは雑誌より安いので「面白いコンテンツを作ろうとする時のハードルが下がった」として「情熱を持ってやりたいという社員からのアイデアの芽をつぶさないことが大事」と訴えた。
代表取締役
糸井 重里氏
河野 通和氏
1998年に始めたウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を運営する、ほぼ日の糸井重里氏は、海外で直接サッカーを見た素人が、専門記者にも発見できないような情報を書き込んでいることに驚き「情報伝達ルートの変化に面白みを感じた」とインターネットの魅力を語り、「面白い所には面白い人が集まる」と、人が集まる”場”としてのインターネットという、ほぼ日立ち上げの発想を振り返った。”場”の呼び名はプラットフォーム、メディアなどさまざまだが、コンテンツを仕入れ、編集し、表現するのが、ほぼ日のプロセスであり、アイデアをモノにすれば商品というコンテンツにつながるというように「すべてをコンテンツと考えれば楽になる」と述べた。
同社独自のプラットフォームとして、最新のAR(拡張現実)技術を搭載したビーチボール状の地球儀に、スマートフォンアプリを通してさまざまな情報を表示する「ほぼ日のアースボール」を紹介。コンテンツ充実に向けて「載せたい情報を持つ個人、会社などいろいろな所と組みたい」と呼びかけた。
古典を学ぶ場を提供する、ほぼ日の学校の河野通和氏は「古典に好奇心を持つ人、学び損ねた人の、もやもやした欲求をすくい取ってコンテンツにするのが編集者の仕事。紙とは異なるライブ空間の学校でも面白いことができる」と、アトム、アースボールにつながる意義に言及した。
