旅人はできれば避けたい?「残念な列車」10選 景色に背を向けるシート、混むのに短編成…

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【ディーゼルカー編】

08)JR西日本 キハ120形ディーゼルカー

芸備線と木次線が接続する備後落合駅に停車するキハ120形ディーゼルカー(筆者撮影)

中国地方の非電化ローカル線を中心に関西本線の亀山―加茂、越美北線、大糸線(糸魚川―南小谷)で使われる小ぶりのディーゼルカー。単行(1両のみ)で使われることが多い。車内はオールロングシートあるいはロングシート主体でボックス席が4つのみという2種類がある。

閑散とした線区ではガラガラのこともあるが、列車本数が極端に少ない区間では、それなりの利用者もあるため途中駅からボックス席に座れる確率は高いとは言えない。2018年3月末限りで廃止となる三江線もこの車両が使われていて、日によっては大変な混雑のようである。できれば乗りたくない車両だが、選択肢がないので我慢するほかない。

長距離だけどトイレがない!

09)JR四国 キハ32形ディーゼルカー

予土線を走るキハ32形ディーゼルカーはロングシートでトイレもない(筆者撮影)

JR西日本のキハ120形と似たような感じの車両で、こちらはオールロングシート(0系新幹線を模した「鉄道ホビートレイン」だけはわずかにクロスシートがある)。この車両の最大の欠陥はトイレがないことだろう。予土線の列車は窪川―宇和島間を通しで乗ると2時間以上かかる。列車本数も少ないので、尿意を催したときの急な途中下車は無理である。体調を整えて乗るしかない。幸いホビートレインの場合は、江川崎駅と吉野生駅でトイレ休憩ともなる長時間停車があるのが救いである。とはいえ、トイレくらいは改造して設置してほしいものだ。

10)JR東海 キハ25形ディーゼルカー2次車以降

JR東海のキハ25形ディーゼルカーは、313系電車(2ページ目参照)にそっくりの外観だ(筆者撮影)

静岡あたりでよく見かける313系電車にそっくりのディーゼルカー。車内は電車同様オールロングシートが幅を利かせている。セミクロスシート車もあるけれど、どちらに当たるかは運次第。高山本線や紀勢本線の山間部を走行する長距離普通列車でオールロングシート車に遭遇するのは不運以外の何物でもない。どちらも特急列車が走っているので、長距離移動は特急利用が無難である。

以上、都市部以外での普通列車で、できれば乗りたくない車両を列挙してみた。東北地方では非電化区間のディーゼルカーはセミクロスシート車が多く、電化区間はロングシート主体なのに、中国地方では電化区間は一部を除いてクロスシートであり、ディーゼルカーはロングシート主体と逆なのが興味深い。車内のグレードは線区により相当のばらつきがあるので、普通列車を使った鉄道旅行でがっかりしないためには、事前の調査が欠かせない。

野田 隆 日本旅行作家協会理事

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のだ たかし / Takashi Noda

1952年名古屋市生まれ。早稲田大学大学院修了(国際法)。都立高校に勤務のかたわら、ヨーロッパや日本の鉄道旅行を中心とした著作を発表、2010年に退職後は、フリーとして活動。日本旅行作家協会理事。おもな著書に『にっぽん鉄道100景』『テツはこんな旅をしている』『シニア鉄道旅のすすめ』(以上、平凡社新書)、『テツ道のすゝめ』(中日新聞社)、『ニッポンの「ざんねん」な鉄道』(光文社知恵の森文庫)、『テツに学ぶ楽しい鉄道旅入門』(ポプラ新書)などがある。

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