メール不要?Slackで「会話」が変わる 「場に発言」することがもたらす効果とは?

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小野氏がSlackの導入を決めた理由は、自身が社長を務める子会社のアプレッソで2015年からすでにSlackを使い、その効果を実感していたからだった。「エンジニアの仲間の間で評判になっていたので、アプレッソでもSlackを使ってみたらどうかと開発チームに提案しました。実際に導入してみたところ、コミュニケーションが活発化し、『メールよりもSlackのほうがはるかにいい』と話す社員が大半でした」。

セゾン情報システムズは当初、部署間の交流イベントに参加した有志のみが使う形でSlackの利用を始めた。その後半年ほどで利用希望者が拡大したため、交流以外にも実際の業務で活用するようになり、2017年の春頃からは交流イベントに参加していない社員も利用できる形にした。

「場に書き込む」ことで
新しいコミュニケーションを生む

セゾン情報システムズ
常務取締役
CTO
テクノベーションセンター長
小野和俊氏

Slackは複数のアプリケーションを接続し、操作できることが大きな特徴である。だがセゾン情報システムズでは「純粋にコミュニケーションツールとして優れていると感じたことが導入の最大の決め手」だったようだ。

コミュニケーションツールとしてのSlackの優位性は何なのか。小野氏は「部署や内容ごとにグループを作って会話をする、ということ自体は他のツールでもできますが、Slackが特徴的なのは誰かに向けて書き込むのではなく『場に書き込む』という意識になる点です」と説明する。

「部署内の業務連絡に使うようなチャンネルは別ですが、大半のチャンネルは参加・離脱が自由ですし、誰がどのチャンネルに参加しているかを意識することはあまりありません。メッセージの既読通知もありません。そういったインタフェース設計が、友達感覚で堅苦しさのない、風通しの良いコミュニケーションを生んでいます」

Slackの導入後、どのような効果があったのだろうか。小野氏は「ある営業の社員がお客様にAI(人工知能)の案件で提案を求められた際、『AIについてまだあまり勉強できていないので、詳しい方、教えてもらえませんか』とSlackに書き込んだところ、それを読んだ別の社員からサポートを受け、短期間で技術的裏付けのしっかりとした提案ができたことがありました」と語る。また、新規に企業や大学に提案に行く際、Slackで出身者が見つかり、関係者を紹介してもらったことが契約につながったケースもあったという。

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