メール不要?Slackで「会話」が変わる 「場に発言」することがもたらす効果とは?

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クラウド関連の資格試験に合格したことを書き込んだ若手の社員が、それを読んだ取締役から褒められた、ということもあったという。「試験に合格したことをメールで社員全員に送る、ということはまずしませんし、参加メンバーがわかっているチャットにも中々書き込めないでしょう。誰が参加しているか意識せずにコミュニケーションできるSlackだからこそ起きることだと感じています」。

ディスプレーの右側をSlackにして作業するエンジニア

それだけでなく、よりシリアスな業務面でもSlackは有効だ。「製品の設計仕様に関するやり取りがチャット感覚で行われることもプラスに働きます。これまではチームリーダーと個別開発者が口頭で確認していたような内容が、ラフな形でもテキスト化されることで他のメンバーにも共有され、『考慮漏れ』を防ぐことにつながるのです」。

さらに、「場に書き込む」ことで、“事前に手を打てる”ということもある。プロジェクトのチャンネルをウォッチしている管理職からコメントが入って、進め方を是正することもあるというのだ。「管理職の急な介入は現場に混乱を生む可能性もありますが、口頭でなくテキスト化された形での意見は早めの対処のきっかけとなり良い効果を生むことが多いです」。

現場の自由な雰囲気を損なわないよう、管理職の介入は必要最低限に。そうすれば、より効率的なプロジェクト進行も可能になりそうだ。

コミュニケーション改革の一翼を担う

セゾン情報システムズは2017年11月にオフィスを赤坂に移転した。これまで2カ所、7フロアにまたがっていた都内の拠点を、1カ所に集約するのが狙いだ。新たにフリーアドレス制を採用したことに加え、2フロアあるオフィスの真ん中に階段を作り、容易に行き来できるようにした。オープンスペースを多く作り、会議や打ち合わせも個室を使わずにオープンスペースで開くことを推奨している。

これらもコミュニケーション改革の一環だという。つまり、セゾン情報システムズの改革とは、「デジタル=Slack」、「アナログ=オフィス移転・集約」という二方向からのアプローチを用いているのだ。「コミュニケーションをできる限りオープンにし、働き方を変えていきたいと考えています」と小野氏。

その重要な一翼をSlackが担っている。

手前がカフェで、その奥にフリーアドレスのオフィススペースが広がる。カフェでの会議も頻繁に行われるという
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