45歳女性がお見合いで「ベタ惚れ」されたワケ 「結婚願望はまったくなし」からの急展開

✎ 1〜 ✎ 91 ✎ 92 ✎ 93 ✎ 最新
拡大
縮小

しかし、ほぼ条件通りの女性を紹介されてもピンと来ることはなかった。そして、8月に紹介されたのが神奈川県在住の敏子さんである。お互いの家を行き来しようと思ったら2時間以上かかってしまう距離だ。

「なぜこの人を私に紹介してくれるのか?と驚きました。ぶっちゃけで言うならば、お写真に魅力を感じました。若くて美しい方なので……。私なんかが申し込むとかえってご迷惑かな、絶対無理だよな、ほとんど犯罪だよな、とあきらめ半分だったのですが、返事をもらうことができたのです!」

最初のデート、すなわち2人だけのお見合いは1時間ほどお茶を飲んで解散するのがセオリーである。しかし、幸太郎さんはバブル経験世代の押しの強さを発揮する。敏子さんがお酒を飲めることを確認し、「もしよろしければ夕食も」と居酒屋に誘った。

「お互いに予定が合わず、次に会えるまでに20日ぐらい空いてしまうとわかったからです。セオリーどおりにやっていたら私などは忘れられてしまうでしょう」

幸太郎さんからの数千字に及ぶメール

会えない間はパソコンメールで文通をした。仕事で文章を書くことには慣れているという幸太郎さん。とりとめのないことを数千字も書いて送った。「何度も画面をスクロールしないと読めない」(敏子さん)ほどの量だ。幸いにも、電話よりもメールのほうが好きな敏子さんは喜んでくれ、丁寧な返信をもらうこともあった。

「メールでのやりとりで人柄がわかりますよね。彼女のメールは思いやりがあって、内面の美しさも伝わってきました」

幸太郎さん、ベタ惚れである。吉祥寺の井の頭公園でボートに乗る、ドライブ好きな敏子さんの運転で富士山へ、さらには千葉県銚子市の犬吠埼で夕陽を見る……。デートの予定を次々と入れた。しかし、あまりの急テンポに追いつけない敏子さんから待ったがかかる。当然だろう。先の予定をたくさん入れられると息が詰まってしまう。

東北出身で、全国各地を転々としながらキャリアを積んできた敏子さん。子どもには興味がなく、結婚願望も薄く、「結婚するなら夫婦別姓で別居婚がいい」などと公言して周囲を白けさせてきた。

「たまに恋愛することはありました。でも、私が好きになる人は振り向いてくれず、好意を示してくれる人には私の気が向かないことが多かったです」

次ページ婚活を始めた理由は?
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT