【産業天気図・化学】08年度後半は主原料ナフサ価格乱高下の影響で雨。09年度前半は騰勢一服で曇りへ回復

予想天気
 08年10月~09年3月   09年4月~9月
 

化学業界の2008年度後半の天気は前回予想(6月)から悪化して雨となりそうだ。ナフサ(粗製ガソリン)を主原料とする石油化学系の事業で今期一杯は採算悪化の傾向が続くためだ。また、電子材料等の機能商品系事業でも半導体市場の低迷が長引いているのが痛い。ただ、09年度前半にはナフサ価格の騰勢が一服、半導体市場の需給環境も好転し業績は回復基調に転じる。

08年4~6月期のキロリットル当たりのナフサ価格は前年同期比21%増の約7万円で推移した。各社とも価格改定に必死だが、今回のような急激な上昇局面においては仕入れ値と売値の価格差であるスプレッドの縮小に歯止めがかからず採算が厳しい。足元では原油価格の下落に伴いナフサ価格も前年並みの落ち着きを見せているが、「逆に値下げ圧力も来ている」(大手化学メーカー広報)という悪循環が化学業界全体を苦しめている。

石油化学系事業に比べ相対的に原燃料価格の変動に強い機能商品系事業でも、実需の停滞と半導体材料の主要用途であるDRAMやNAND型フラッシュメモリーの供給過剰が思いの外長引き、石化系事業をカバーするどころかセグメントとして減益が避けられそうにない情勢だ。

こうした中、化学大手各社の今期業績も会社計画未達の可能性が強くなってきた。なかでも厳しいのが、旭化成<3407>と東ソー<4042>だ。旭化成はポリマー等の汎用品、繊維で需要減もあり一部減産を行う。会社側は業績修正を行っていないが、「四季報」最新号(秋号)では営業利益を会社側の期初計画から37.5%独自に減額した。また、東ソーについても営業利益を期初計画比37.5%減額をした。石化、基礎原料は想定外の原燃料高、収益柱の機能商品もデバイス不振受け苦戦、超純水製造装置子会社等も苦戦しているためだ。

このほか、大手では三菱ケミカルホールディングス<4188>が中間期のみの業績予想を修正しており、「会社四季報」秋号では営業利益を期初の会社予想比から通期17.7%の減額した。合成樹脂、基礎石化製品等で価格転嫁が追いつかないのが主因だ。また、三井化学<4183>も主力の基礎化学品は高純度テレフタル酸の市況が悪化、フェノール減産も痛手で、すでに会社側は今期見通しを減額修正している。

一方、住友化学<4005>は少し色合いが違い、情報電子の偏光フィルムが韓国、台湾向けに好調で期初の会社計画を上回りそう。ただ、減益幅が縮小した程度で石化・基礎化学は国内外で相変わらず環境が厳しい。

健闘しているのはやはり信越化学工業<4063>だ。ともに世界首位の塩化ビニル樹脂と半導体ウエハの両輪が同社の主力。塩ビは米国子会社シンテックが中南米等向けの輸出が好調だ。半導体ウエハも昨年比での実生産能力を落としていると見られるが、依然高水準で、前期比6.9%増益の会社予想は達成圏内だろう。

また、ナフサ価格の影響を受けにくい機能性化学メーカーとして知られるクレハ<4023>や日立化成工業<4217>も増益となる見込み。機能商品を購入する需要家の業績不振の影響は受けるが、クレハはリチウムイオンバッテリー用途等のフッ化ビニリデン樹脂、日立化成工業はMPU向けの銅張積層板でそれぞれ高シェアを保っているため、他社に比べ市況変動に耐性を持つ。

石化事業では今後天然ガス由来でコスト競争力のある石化基礎製品が中東から流れ込む。日本の化学メーカーにとってはナフサベースの製品で値上げに苦しむ上、新たに価格低下圧力を受けるとなればまさに「脅威」(ポリプロピレン、ポリエチレン大手のプライムポリマー広報)だ。09年度前半はナフサ価格の騰勢も一服すると見られるが、その先には現状では効率の悪いエチレンセンターの集約などより抜本的変革を求められるだろう。
【二階堂 遼馬記者】

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