地図のゼンリン、「自動運転」で高まる存在感 地図データをめぐり、業界動向は活発化
株式市場が注目する自動運転関連銘柄。なかでも2017年に躍進が目立ったのがゼンリンだ。同社は膨大な住宅地図データを保有しているが、この地図データが自動運転でも必要となるため、その存在感が増している。
ゼンリンの強みは何といっても全国約70の調査拠点が日々実施する現地調査だ。1日約1000人の調査スタッフが1軒ずつ歩き、目で見て調べる地図データの精度は他を圧倒する。
米グーグルをはじめ世界の同業大手が日本の地図情報については同社のデータを使っているのも、その強さの証左といえる。
自動運転に必須となる3次元地図データ
本格的な自動運転時代を迎えるにあたり、運転支援から自動運転へレベルを上げる際に必須となるのが、高精度の3次元地図データ。レベル2までの現状の運転支援なら車載センサーでも十分動くが、システムがすべての運転タスクを行うレベル3以上の自動運転では3次元位置情報がどうしても必要となる。
運転者が普通に行う、先を予測しての車線変更などは、カーブや勾配などセンサーでとらえられない部分も判断しなくてはならず、3次元化されたデジタル地図と組み合わせて使う必要がある。ゼンリンは、この地図データで圧倒的な競争力をもつだけに、その分野での期待は大きい。
ただ、ダイナミックデータといわれる車両や歩行者などの動的情報を組みこんだ高精度3次元デジタル地図をつくるためには、1社では開発のコスト負担は重い。
そのコストをシェアするべく国内の有力プレーヤーが集まったのが、2016年に誕生したダイナミックマップ基盤会社だ。地図分野ではゼンリン、インクリメントP(パイオニア子会社)、トヨタマップマスターの3社が、測量を行うパスコ、アイサンテクノロジーも名を連ねた。
2017年には新たに官民ファンドの産業革新機構が筆頭株主として参加したほか、トヨタ自動車やホンダ、日産自動車など国内大手自動車メーカー10社も少額出資ながら名を連ねる。2018年までに国内の自動車専用道路約3万キロメートルの整備を行うべく、その作業が始まっている。
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