DeNA×Slackが目指す「別次元の働き方」 全ての業務をSlack上に集約する流れに
DeNAには以前から日常的に各事業部内でSlackを活用している執行役員もおり、組織の上下のコミュニケーションもSlack上で行われている。「現場間での雑談に役員が入ってくるケースもあれば、部下が上司に対して仕事上の大事な話をするケースももちろんあります。また、私の経験上、人間関係や業務の悩み相談もよくあり、以前よりコミュニケーションがとりやすくなりました」と成田氏は語る。
取引先の社員をゲストアカウントでSlackに招待し、情報共有する取り組みも始まっている。また、「Slackを利用している取引先の企業同士が接続され、Slack上でコミュニケーションする機能もリリースされており、今後は社内外を問わずコミュニーションをできる限りSlack上で完結させようという流れに徐々になりつつあります」。
別次元の働き方改革へ
Slackの調査によれば、導入企業では生産性の向上や会議の減少が実現するとしているが、導入すれば直ちにその効果が表れるわけではない。コミュニケーションを円滑にし、ナレッジ共有が高まる基準としてSlack社が提示しているのは、「パブリックのコミュニケーションが6割以上になること」だという。
Slackのコミュニケーションは、誰もが閲覧できる「パブリック」、許可された人だけが閲覧できる「プライベート」、個々人間の「ダイレクトメッセージ」という主に3種類があり、その中のパブリックのコミュニケーションを増やすことを推奨しているのだ。
DeNAでは「現在はパブリックでのやり取りが3割、プライベートが2割、ダイレクトメッセージが5割という状況です。この割合を変え、できるだけパブリックを増やしていきたいと考えています」と成田氏は語る。
そのうえで、今後DeNAがSlackに期待するのは、「強みである圧倒的なユーザビリティの高さやエンタープライズでの利用に耐えうるセキュリティの堅牢さをよりブラッシュアップし、より多彩なシステムとの連携を可能にし、業務効率化を推進する機能を備えていくこと」だという。
さらに、将来的には「Slackを介して行われるコミュニケーションを統計的に分析し、従来のメールなどのやりとりでは難しかった『ピープルアナリティクス』を可能にしうるポテンシャルにも注目しています」と語る。
たとえば、パブリックのチャンネル上で、ある社員がほかの社員にポジティブなメッセージを送っている、誰と誰がどんなアプリケーションで共同作業して成果を出している、といったことがSlack上のデータによって可視化されれば、社員の振る舞いを分析し、より効率的な働き方を考える糸口になり得る。
「Slackによりこれまでとは違うレベルで働き方を抜本的に向上できる可能性があります。そうしたことの実現に向けて、今後もさまざまな新しいことに取り組んでいきます」
DeNAはSlackを活用することによって、コミュニケーションの円滑化や生産性の向上にとどまらず、さらに別次元の働き方改革までを見据えている。