鎌倉市民が悩む「観光渋滞」は解消できるか

江ノ電実証実験や観光マイカー課金も実施へ

その裏には、パークアンド・ライドの導入や「鎌倉フリー環境手形」という公共交通機関の利用を促すフリーパスの販売等を行っているものの、渋滞解消の効果的な施策になっていないという事情もある。

そのような状況の下、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が間近に迫る中で、観光地の渋滞対策が急務となり、以前は鈍かった国側の対応にも変化が現れ始め、今回の公募という形に至った。

エリアプライシング導入へのハードル

以下、松尾市長に話を聞いた。

――すでに実験は始まっているのか。具体的な実験内容は?

昨年12月12日に、国交省が主催する「鎌倉エリア観光渋滞対策実験協議会」がスタートしたが、これが第1回の会議で、まだ、具体的な実験はスタートしていない。今後、渋滞・規制情報提供等に使われるETC2.0やAIカメラなどの新しい技術を駆使してデータ収集し、(市街地への)車両の流入流出状況、移動経路、主な交差点での渋滞原因分析を行うほか、人・自転車の流動や観光スポットの混雑状況なども把握していく。また、エリアプライシングに必要な課金技術の検証も行う。ETC2.0は、すでにデータが収集できるように準備が整っており、AIカメラの設置はこれからとなる。

――課金額は、1台あたり1000円という金額が報道されたが、決定事項か。

長谷観音前交差点は、寺院駐車場への道が狭いため、観光バスがスムーズに入れないことが多く、渋滞長が延びる原因となっている(筆者撮影)

検討当初、(道路の通行料の徴収に近い)ロードプライシングという考えをとっていた頃には、通行料の適正価格はどれくらいだろうという観点から、さまざまな意見が出された。しかし、最近は、鎌倉の中心部の車の数を減らし、観光客も市民も安全に快適に歩いて楽しめる空間をつくるために、一定エリア内を走行する自動車の数を制御するエリアプライシングの考えに基づいて検討を進めている。この考え方によれば、交通の需要を制御するために、状況を総合的に見ながら課金額を調整すべきということになるが、まずは1000円から開始したい。

――ETC未搭載車も多いと思うが、課金はどのように行うのか。また、市民も課金対象になるのか。

ETCを搭載していない自動車への課金が、1つの大きなハードルとなる。2つの方法が考えられ、1つはAIカメラ等でナンバープレートを捕捉する方法、もう一つは、未搭載車はコンビニ等でお金を払ってチケットを購入するなど、事前登録をしない限り、課金エリア内に進入できなくする方法だ。

市民の負担に関しては、昨年10月の一部の報道で、「最大1割程度の課金を検討」という情報が流れ、批判的なご意見を頂戴したが、市民負担ゼロを目指している。ただし、最終的に課金に関しては、法定外税を中心に検討を進めており、国のお墨付きをもらわなければならず、その際、税負担の公平性の観点を指摘される可能性があり、まだ、決定事項ということができない。市民にも、いったん課金し、後で還付するような仕組みもありうる。

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