中国自動車メーカー、ついに欧米市場進出か 定額制で短期レンタルする事業計画も

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吉利傘下のリンクは、2019年後半にベルリンで、20年にはサンフランシスコで、それぞれ旗艦店をオープンする方針だ。

直接販売が許されていない米国のいくつかの州では登録制をとり、1カ月といった短い期間で車をレンタルする事業の計画を立てている。これはちょうど、動画配信のネットフリックス<NFLX.O>や音楽配信のスポティファイのような事業モデルだ。レンタル契約には保険や保証その他の恩恵が含まれる。

リンクのビサー氏は、伝統的な販売経路を通すとディーラーのマージンや値引きで売上高の約4分の1が失われると判断し、こうした新しいモデルを試してみたいと考えている。消費者に直接売ることで、「損失」の半分以上を取り返せるとの読みだ。

ビサー氏によると、取り返した分の一部は、自動車の価格を抑えることで顧客に還元する。また、欧米での販売台数は年間25万台を目指すと述べたが、時間的な目標は明示しなかった。

リンクが米国で直接販売に乗り出すと、強力なロビー団体である全米自動車ディーラー協会(NADA)と衝突する可能性がある。

ビサー氏は、NADAが「信じられないほどの影響力」を持っていると認めた上で、リンク車の修理や保守にはフランチャイズディーラーが当たることになりそうなため、最終的にはディーラーも直接販売モデルに納得するとの見方を示した。ディーラーはこうしたサービスで利益の大半を得ているという。

「トランプチ」は変更へ

GACモーターの関係者2人によると、同社は米北東部を手始めに海外でのプレゼンスを高めていく可能性がある。外国車に寛容で、GACが販売を計画するスポーツ用多目的車(SUV)の人気が高い土地柄だからだ。

米国販売第一弾は、中国で販売されているSUV「Trumpchi(トランプチ)GS8」になりそうだ。ただ、政治的な配慮から、名称は米市場向けに変更されるだろう。

GACの広報は「当社は米国の文化を尊重しており、現職の大統領の名前をブランド名に使うのは前例がないことを承知している」と話した。

(Norihiko Shirouzu)

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