女子高生の「スカート」に映る不変のこだわり たかが制服の着こなし、されど着こなし

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世界を見ても、たとえばイランの女性は宗教的な戒律から、全身を布で覆い、髪さえもスカーフで隠しているイメージがありますが、現実には、現地ではスカーフをラフに巻いたり、胸元を見せたり、身体のシルエットが出るストレッチパンツや9分丈(くるぶしが見える)パンツを穿いたり、涙ぐましい努力をしています。

ファッションが、国や宗教戒律の縛りから人を解き放つ先兵となっているのです。昨今の珍現象として、学校の休みの日にまでわざわざ制服を着て外出したり、制服のない学校を選びながら自分たちで工夫した「制服もどき」で登校したり、大学生になっても出身高校の制服を着て集まる会がブームになっているなどがあります。

制服は、集団のイメージが独り歩きし、個性を押し込めるものと見なされていたものが、今は世代と個人を演出するコスチュームに変貌しつつあります。半世紀で制服の位置づけがひっくり返ったようなものです。 

ちなみに、学校制服では、パンツのことをズボン、あるいはスラックスと呼ぶ場合が多いのですが、ここでは一般に使われているパンツと表現します。冬に寒い地域の高校では、一応オプションでパンツを買えるようになっているものの、購入はほぼ皆無に近く、インタビューした限りでは、女子高校生の感覚は、学校制服=スカート=常識となっています。

スカートにも尋常でないこだわり

では、スカートなら何でもいいかというと、そうではなく、そのスイートスポットは意外に狭いことにびっくりさせられます。プリーツスカートが絶対的な人気で、彼女たちが望むプリーツには2種類あります。1つは、16本から24本のプリーツでヒダがはっきり見えるもの。年配の女性がよく着ているヒダがソフトで不明瞭な細かいプリーツのものは人気がありません。もう1つは、パネルスカートといわれるものです。

制服に多いスカートと一般的なスカートには違いがあります(イラスト:光文社提供)

サイドにプリーツがあり、前正面や後ろはパネル状の平面になっているスカートです。これは柄がよくわかり、適度に動きやすいのが特色です。この2種が双璧で、生地はさまざまなタータンチェック柄が入っているもの、ついで紺やグレーなどの無地が多くなっています。

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