子を持たない彼女たちの明かしたくない本音 「産みたくても産めない」「望まない」人もいる

拡大
縮小
女性の生き方は確実に変わっている(写真:kikuo / PIXTA)

「ずっと自分の子どもが欲しくて、子どもがいる人生しか考えてこなかったけど、結局ダメでした。いまでも子どもが欲しかった気持ちは、胸の奥にささっています。事情を知らないとはいえ、『子どもは?』と聞かれるたびに胸が痛みました」

結婚生活18年目となる久保田初美さん(仮名・50歳)は、子どもを持つことへの苦悩の連続だったとため息をもらす。

「お子さんは?」

結婚している女性に対する何げない一言が、地雷を踏んでいることがある。子どもを産んだか、産んでいないか。そのことは女性にとってセンシティブな問題で、「ご出身は?」と同レベルでは聞かれたくない質問だと、理解されていないと感じる。

「子どもを産むのは当たり前」との認識はまだ根強い

多様性の時代といわれながらも、「結婚したら子どもを産むのは当たり前」との認識は、まだ根強い。子どもを産まなかった女性たちは、現代社会のなかで生きづらさを感じているが、そのことに気づいている男性はどれくらいいるだろう。

「子どもがいない女性たちは、自由に好きなことをして楽しそうにしている」

子どもを持ち、家族としての責任を背負っている人から見れば、そう映ることもあるかもしれない。子どものいない女性たちは、普段は本音を隠して過ごしているため表面上はわかりづらいが、子どもを持てなかったことに傷ついている人は少なくない。

「頑張って続けていれば、いつか妊娠できると信じていました。不妊治療を続けることは家計にも大きな負担で、貯金も減っていきましたが、あきらめたくない。絶対子どもが欲しいと意地になっていました」

不妊治療に300万円以上を費やした会社員の香川由美子さん(仮名・49歳)は、肉体的、精神的、金銭的の三重苦を背負い、子どもを持てなかったことに対して、うまく気持ちを切り替えられなかったと嘆く。

次ページ不妊症に悩むカップルは増加している
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT