「党首討論なし」「首相は逃げ恥」では酷すぎる

傲慢自民に混乱野党で、国会は機能不全に

野党党首としての討論参加資格は、(1)衆参両院のいずれかで10人以上の議員を有して院内交渉団体の資格を持つ政党(会派)の党首、(2)国会議員で国家基本政策委員会に所属、と規定されている。(1)の条件を満たす党首は枝野幸男・立憲民主党代表、玉木雄一郎・希望の党代表、大塚耕平・民進党代表、志位和夫・共産党委員長、片山虎之助・日本維新の会共同代表の5氏だが、衆院会派無所属の会(13人)の岡田克也代表も理論上は有資格者となる。

岡田氏は民進党籍があるため、参院野党第1党の同党に所属する衆院側議員と見ることもできるが、その場合は民進党籍を持つ議員で構成される衆院無所属の会(13人)を加えると衆参の総議員数では民進党が「野党第1党」となってしまう。こうした過去に例のない異常事態について、自民党の森山裕国対委員長は「野党でしっかり決めて欲しい」と野党間の調整を求めたが野党側の対応が混乱、これが特別国会での党首討論見送りにつながった原因だ。

そもそも、特別国会での衆参国家基本政策委員会の登録議員をみると、大塚、岡田両氏の名前はなく、ルール上では初めから両氏は今国会での党首討論への参加資格はなかった。このことからも、野党側は党首討論開催を想定していなかったと見られても仕方がないのが実情だ。

さらに、質問時間配分は原則的に所属議員数との見合いで決まる。仮に来年の通常国会で岡田氏を除く5人の党首が討論に参加する場合、これまでの経緯から枝野、玉木、大塚3氏が各10分強、志位、片山両氏が各5分という"細切れ討論"となり、各党首が緻密に連携しない限り、野党側の追及不足となるのは避けられない。

世論調査では、首相3選に「反対」が上回る

国会論戦の主舞台となる予算委員会は各委員の質問に首相ら政府側が答える「一方通行方式」だが、党首討論では首相の「逆質問」も認められており、本来は丁々発止の緊迫したやり取りになるはずだ。ところが、首相からの逆質問はまれで、むしろ長広舌による時間稼ぎが常態化していた。このため、野党が小党乱立となった現状では党首討論自体が形骸化し、来年も開催できなければ存続の是非すら問われかねない事態だ。まさに「言論の府の機能不全の象徴」(首相経験者)ともみえる。

国政選挙5連勝で"1強"を維持する首相にとって、野党陣営が民進党分裂の後遺症で「戦闘能力」を喪失していることは、10カ月後の自民総裁選での「3選」への追い風ともなっている。自民党内でも「首相の強運はまだまだ続く」(執行部)との見方が広がる。しかし、衆院選後に実施された各種世論調査では、首相の「3選」について「反対」が「賛成」を上回る状況が続く。「国民の"安倍疲れ"の表れ」(自民長老)とすれば、年明け以降も強引な政局運営を続けると、「ちょっとしたミスが政権危機につながる」(同)可能性は否定できない。

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