JR北海道は「JR東日本株」取得で安定化できる 業務・資本提携が生むメリットとは?
8月のある土曜日の朝、北海道旅客鉄道(JR北海道)石北本線の北見駅。筆者が7時57分発の普通網走行き(列車番号:4653D)に乗車すべく、市内のホテルをチェックアウトして同駅に到着すると、土曜の朝にもかかわらず改札口からは50人以上の旅客が次々と出場してきた。
遠軽―網走間を結ぶ4653Dは、北見駅周辺の事業所や学校、柏陽駅および愛し野駅が最寄りの高校に通う人たちを支える通勤・通学列車として重要な機能を果たしている列車だ。
石北本線の普通としては最大両数(JR北海道広報部による)である4両編成の同列車には、この日も70人以上が乗車していた。ほとんどは高校生で、北見から1つ目の柏陽駅と2つ目の愛し野駅でそれぞれ約30人が下車すると、車内からは喧騒が消えた。その後の各駅では数人の乗降があるのみで、9時04分着の終点、網走で下車したのは10人前後だった。
「国鉄時代なら廃止対象」
石北本線の新旭川―網走間234.0kmは、JR北海道が2016年11月18日に公表した「当社単独では維持することが困難な線区について」(以下、「維持困難線区」)の中で、「国鉄時代であれば特定地方交通線に指定され、原則廃止対象とされた線区」と説明される「輸送密度200以上2000人未満の線区」にリストアップされている。
2016年度、同線の上川―網走間の輸送密度は880人・営業損失24億9300万円(管理費を除く)・営業係数342(同)、新旭川―上川の輸送密度は1229人・営業損失7億1900万円(同)・営業係数324(同)である。さらに今後20年間に、橋りょう、トンネルなどの土木構造物の修繕などに57億円、車両更新に114億円、合計171億円の経費が必要と試算されている。
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