京急「ジャズ電車」で川崎は音楽の街になるか 入場券不要の立ち飲みバーも大盛況

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一見すると何の変哲もない停車中の電車だが、よく見ると車内ではジャズ演奏が(筆者撮影)

さらに、このイベントでジャズを楽しめるのは牧山さんのコンサートだけではない。車両の1両目・2両目(横浜方面)は立ち飲みBARとして無料開放(入場券も不要)されており、こちらでもオートクチュールサックスカルテットによるジャズ演奏がゲリラ的に繰り広げられた。

「これは今回が初めての試みです。立ち飲みBARの実施はお知らせしていましたが、車内での演奏は事前告知していませんでした。だから、当日何げなく来ていただいたお客様にとってはラッキーですね」(京急電鉄広報担当者)

沿線との一体感が重要に

通常は使わないホームに電車を停めて開かれた"JAZZ STATION"。立ち飲みバーも展開した(筆者撮影)

今回JAZZ STATIONが行われた京急川崎駅1番ホームは、通常時の運行では使われていないこともあり、最近では頻繁にこの“立ち飲みBAR”を開催しているという。

「月1ペースでやってますね。遊休スペースを有効活用し、その中で少しでもお客様に京急に愛着を持っていただければ」(京急電鉄広報担当者)。こうして“京急川崎駅のBAR”は徐々に地元の人たちにも定着しつつあるとか。

大手の事業者にとってもどのように“沿線との一体感”を生み出していくのかは長期的に見れば重要な課題の1つ。とはいえ、即効性のある手段はなかなかない。そんな中で、"ジャズの町・川崎”で行う車内ジャズコンサートイベント。駅や車両という自前の設備を活用し、"ここでしかない”何かを地域とともに提供していくことは、これからの鉄道にとって欠かせないものになるのかもしれない。

鼠入 昌史 ライター

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そいり まさし / Masashi Soiri

週刊誌・月刊誌などを中心に野球、歴史、鉄道などのジャンルで活躍中。共著に『特急・急行 トレインマーク図鑑』(双葉社)。

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