東レ・三菱マテ、「改ざんドミノ」が起きたワケ

相次ぐデータ改ざんは氷山の一角なのか

会見する三菱マテリアルの竹内章社長(右)(撮影:大澤 誠)

しかも、改ざんを把握した後も約8カ月間にわたって不正の疑いがある製品を出荷し続けていた。対応の遅さ、法令順守の欠如があったことは否めない。

三菱電線と三菱伸銅は11月中旬に調査委員会を設置、三菱伸銅は年内に調査を終える見通しだが、三菱電線は製造プロセスが複雑なこともあり、年をまたぎそうだ。「12月末に進捗状況を説明する」(小野直樹・三菱マテリアル副社長)。

データ改ざんはどこまで蔓延しているのか。たとえば三菱電線のシール材はパッキンやガスケットと呼ばれ、通常は2年程度で交換されるもの。非鉄金属業界の関係者は、「顧客は過剰品質を求めがちだが、多少その基準に満たなくとも安全性に問題がなければ、出荷することはある。消耗品なら、もし不具合が生じても交換すれば済む」と打ち明ける。

背景にあるのは、激しさを増す受注競争だ。「要望どおりのスペックで納入できないなら、ライバル社に取られてしまう」(同)。東レで問題になったように、取引先さえ了解すれば許されるという特採の慣行が、品質データに対する感度を鈍らせている可能性もある。

傍流の子会社には目が届かない

企業経営に詳しい三品和広・神戸大学大学院教授は「負け組の事業を温存してきた判断に間違いがあったのではないか」と話す。

東レ、三菱マテリアルともに問題が起きたのは非主力事業だ。「日本企業は規模を追うために足し算によって大きくなった。しかし張りぼての大企業では、傍流の子会社には目が届いていないのが現状だろう」(同)。

当記事は「週刊東洋経済」12月9日号 <12月4日発売>からの転載記事です

三菱マテリアルの連結子会社は国内外に約120社もある。三菱電線は2010年に子会社となり、その売上高は約300億円と、連結売上高が1.5兆円に迫るグループの中では小粒だ。東レの場合も、THCは歴史こそ古いが、年商は50億〜60億円にすぎない。

製造業に詳しいローランド・ベルガーの遠藤功会長は「顧客は日本企業の信頼性におカネを払っていた側面がある。それが崩れれば、戦略そのものを見直さなければならなくなる」と危惧する。製品の安全性さえ担保できればいいという問題ではない。日本の製造業はもう一度足元を見つめ直す必要がある。

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