ハルカス近鉄が「地元客」で大混雑するワケ 閑散としていた関西地盤の百貨店が一変した

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かつて、関西圏では阪急百貨店や大丸といった強豪がひしめく中で、近鉄本店は地元客から「親しみのある店舗」と支持されていた。 

だが、2014年にあべのハルカスとして新装開業したことが裏目に出る。誘致した新しいブランドが地元客になじまずに、もくろみどおりに集客することができなかった。特に、新店舗のウリの1つだった「ピュアヤング層」と呼ばれる10~20代の女性をターゲットにした新専門店ゾーンが「大コケした」(前出のIR担当者)。

「これはヤバい。何とかせなアカン」。開業とほぼ同時期に就任した髙松啓二社長は、出足の苦戦を受け、オープンからわずか半年で改装着手に踏み切った。

「無印良品」が起爆剤に

全面開業から3年半が経過した「あべのハルカス」(撮影:尾形文繁)

目玉の若年女性向け専門店を大幅に入れ替え、そこに地元のドラッグストア「コクミン」や家電量販店の「エディオン」を誘致。食品売り場にも、焼きたてチーズタルトがウリの「ベイク チーズタルト」などを次々と導入した。

それでも近鉄本店の開業初年度の売上高は983億円と、開業当初に掲げた目標の1210億円に及ばなかった。それ以降も本格回復には至らず、2016年度の近鉄本店の売上高は974億円と、前年度並みにとどまった。

だが、昨年11月に誘致した「無印良品」が、反発力がいま一歩だった状況を一気に変えた。大阪南部で最大級となる無印良品の店舗が、若年女性向け専門店ゾーンを改装した場所に入居したことで、顧客の流れがよくなった。それが周りにも波及して、バッグや婦人靴、化粧品なども売れるようになった。

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