ベゾス氏側近が語る「アマゾンAI」発想の原点 AIスピーカー「エコー」に5000人超が携わる

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――2016年7月の米メディアのインタビューでは、アレクサやエコーの開発人員が1000人規模と話していた。現在の体制はどこまで拡大しているのか。

開発体制は、今や5000人超に膨らんでいる。基本的には、8~10人の小さいチームで、1テーマに徹底的に取り組む。あるチームはアラーム機能だけ、別のチームはタイマー機能だけの改良に朝から晩まで専念する、といった具合だ。

開発の舞台は社内だけではない。アレクサはあらゆる知識をクラウドに持たせているため、ユーザーが毎日使えば使うほどに新しいことを覚え、改善が進む。また、外部の開発者が作るアレクサ用のアプリケーション「スキル」によって、できることが増えていく。これもスタートレックコンピューターの実現に向け欠かせない要素だ。

皆が欲しがる技術をいち早く見つける

――アマゾンの企業としての成長には、アレクサやエコーはどのようなインパクトをもたらすのか。

やってほしいことを声で発すれば、処理してくれる。そんな音声認識技術はどこまで消費者に受け入れられるか(撮影:尾形文繁)

われわれのビジネスモデルは、ユーザーが本当に使いたいと思えるサービスやテクノロジーをいち早く見つけ出すこと。それ自体が最も重要かつ難しい部分であり、それさえできればマネタイズの方法は後からわかってくる。10年前にキンドルを発明して以降、われわれが長年やってきたことだ。

(アレクサ・エコーに関しては)アマゾンにしても、外部パートナーやデベロッパーにしても、マネタイズできる方法はこの先いくらでも見つけられるだろう。買い物、電子書籍、音楽ストリーミング、いずれのビジネスも、まずは競争力のあるすばらしいプロダクトをつくらなければ、その先はない。

――ジェフ・ベゾスCEOはこの領域への投資にゴーサインを出したとき、どんな期待を語ったのか。

ひと言、「Invent!(発明せよ!)」と。新しいものを発明するのが彼の何よりの関心事であり、これはリスクを恐れずに投資に踏み出すべきという判断だった。

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