10月3日から6日にかけ、幕張メッセでIT&エレクトロニクス国際展示会「CEATEC JAPAN 2017」が開催された。出展者数・登録来場者数ともに前年比増で、15万人以上が来場したという。2年連続出展となったGNヒアリングジャパンのブースも、昨年と変わらず盛況だった。同社は、デンマークに本社を置く世界有数の補聴器メーカーだ。
今回の出展理由について、同社マーケティング部部長の池田慶弘氏は「まずは多くの方に最新のスマート補聴器を知っていただくことが目的です。サイズやカラーリング、装用感、音声処理機能など、実際に見て、聞いて、その利便性を体験していただき、補聴器に対する誤解を解くことです」と説明する。
最新の補聴器は想像以上の性能とデザインを完備
GNヒアリングジャパン
マーケティング部部長
家族にテレビの音量が大きいと指摘されたり、話を聞き直すことが増えたら、難聴の可能性を意識してほしい。難聴にはさまざまな原因があるが、多くの人にとって他人事では済まされないのが加齢性難聴だ。一般に30代頃から高音域が聞き取りづらくなり始め、やがて60代になると、個人差はあるものの言葉の聞き取りにも影響が出てくる。
一般社団法人日本補聴器工業会による2015年の調査では、自分は難聴である、またはおそらく難聴であると思っている人の割合は、55~64歳で約10%、65~74歳で約18%、74歳以上では約42%にも跳ね上がる。しかし、自己申告難聴者における補聴器使用率はわずか13.5%と、欧米先進国の約30~40%と比較しても著しい低さだ。これは、補聴器に対する認識や意識の低さ、イメージの悪さが影響していると考えられている。
「補聴器は高度または重度の難聴者のみが使う器具と思っていたり、必要以上にうるさくて煩わしいものと想像する人が少なくありません。しかし、加齢性難聴は誰しも罹る可能性がありますし、最新の補聴器はみなさんが思っている以上に性能が良いデバイスなのです」
遠隔操作で行う微調整、音声処理など機能が向上
GNヒアリングジャパンの主力製品は、今年6月に発売した新商品「リサウンド・リンクス 3D」だ。スマートフォンと連動するスマート補聴器で、環境に合わせた微調整や、スマートフォンで行う通話音声の直接出力、補聴器を紛失した際の位置測定などに対応する。耳あな型、耳かけ型など好みに合わせて選択できるよう複数のモデルがあり、洗練された色やデザインには北欧メーカーならではのセンスを感じさせる。中にはわずか1グラムしかないモデルもあり、装用していることを忘れてしまいそうだ。「補聴器はベージュ色で、耳から大きくはみ出るダサい器具」というのは、一昔前のイメージに過ぎない。
独自の取り組みとして注目されているのが、これまで販売店でしか対応できなかった補聴器の調整を、自宅に居ながらにして行える新機能だ。補聴器の利用を視野に入れた場合、まず耳鼻科医の診断を受け、必要に応じて販売店で補聴器を購入するのが一般的な流れだが、その後も販売店を何度か訪れ、調整を重ねる手間が発生する。視力が0.1もない人が急に1.0に矯正すると、目が疲れて気分を害してしまうように、聴力も急に上げると支障をきたす恐れがあるからだ。
「リサウンド・リンクス 3D」ではインターネットを介したクラウドシステムを使用し、販売店とのコミュニケーションや調整データのやり取りを遠隔操作で行えるようになった。わざわざ時間を作って店に赴く煩わしさがなくなった。頻繁に調整すればデータも蓄積され、よりベストな状態へたどり着きやすくなる。
また、音質処理技術も大きく向上した。従来機種に比べて音の認識能力が上がり、騒音の激しい場所でも会話音を正しく識別できる。「静かな場所や、一対一の会話なら問題が無くても、雑然とした場所での会話や大人数での会議になると聞き取りづらくなるという人は多いのです。音声信号処理の向上によって、よりクリアに聞こえるようになりました」。
単に「聞こえる」だけでなく生活全体の満足度が向上
「補聴器は、高価なモデルほどよく聞こえるというものではなく、必ず使用者の聴力に最適な調整を施す必要があります。その調整の手間が簡便になったことで、満足度も高められると考えています」。
「CEATEC JAPAN 2017」では、4日間分用意していた製品資料が初日でなくなるなど、予想以上の好感触だったという。しかしそれは、同社製品や補聴器自体の認知度の低さからくる反応だとも考えている。「最近はウェアラブル、ヒアラブルという言葉が注目されたり、多くのスマートスピーカーが登場したりと、音を使ったコミュニケーションに関心が集まっています。スマート補聴器分野も、今後ますます進化していくでしょう。聞き返しや聞き間違いが増えてきたら、ぜひ補聴器を試してみてください。想像以上の未来が待っているはずです」。
「聞こえ」が悪くなると他人とのコミュニケーションに臆病になり、社会との接点が希薄になりがちだ。それが周囲からの孤立を招き、生活から充足感を失わせることにつながりかねない。同社の補聴器は先進テクノロジーによってそうした事態を防ぎ、クオリティ・オブ・ライフの向上に役立っている。