台湾の玉山銀行が日本進出で果たす使命とは 中小企業の海外進出支援に大きな期待
台湾~東南アジアにネットワークを展開
玉山(イイサン)銀行は1992年に設立された。台湾では1990年代に金融が自由化され、この時代に多くの民間銀行が設立されたのである。玉山銀行はその中でも最も早い時期に設立された民間銀行の1行だ。ただ、台湾の金融業界では、同族経営の民間銀行や政府系の銀行が多い。玉山銀行はそうした中でほとんど唯一の非同族・非政府系銀行として、台湾内に140店近い拠点を展開している。
また、台湾の銀行で初めて携帯電話向けにQRコードによる支払いサービスを始めたり、やはり台湾の銀行としては初めてVISAと提携したりするなど、サービスの先進性でも定評がある。「プロフェッショナルな人材によるプロフェッショナルサービスの提供」というのは、玉山銀行の形容にしばしば使われるフレーズだ。一方ではコーポレートガバナンスの強化に力を入れ、地方の小学生のために100カ所を超える図書館を建設して寄贈するなどCSRにも積極的に取り組んでいる。
そうしたことが評価され、玉山銀行は金融専門誌の『アジアマネー』により「台湾最優秀銀行」に選ばれたり、『アジアンバンカー』誌から「台湾最優秀中小企業銀行」に選出されたりするなど、数多くの賞を受賞している。ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックスに選定されているのも、台湾では玉山銀行だけだ。
その玉山銀行が近年、特に力を入れているのが海外展開だという。黄男州総経理はこの間の実績についてこう述べる。
「当行は、台湾市場の深耕とアジアへの展開を経営戦略として掲げており、中国、ベトナム、ミャンマー、シンガポール、カンボジア、さらに米国やオーストラリアにも拠点を展開しています。その結果、多くのお客様から、東南アジア各国への展開を進める際の信頼できるパートナーという評価をいただいています」
フルスペックの金融サービスを提供
そして今回、9カ国目、25番目の拠点として東京支店の開設に踏み切ったのである。