テレビドラマから20代主演俳優が消えた理由

今秋の主演は平均44.5歳、高齢化の波極まる

ビジネスシーンでも、「トップに君臨している企業ほど、その座を守ることばかり考えてしまい、ピークアウトを招いてしまう」というケースは少なくありません。テレビ業界の苦境は、「成功の陰に潜む課題から目を背けない」「時代の変化に対応し、未来の種をまき続ける」ことの大切さを物語っているように見えます。

衆院選速報番組に見るニーズの偏り

ここではドラマの話を書きましたが、情報番組やバラエティ番組も状況に大差ありません。スタッフ、キャスト、視聴者のすべてで中高年化が進み、ときどき若手が頭角を現しても短期間で埋没してしまうというケースがよく見られます。

思えば22日の20時以降は、ほぼすべてのテレビ局が衆議院総選挙の速報番組を放送していました。国の重大事とはいえ、「4~8時間超にわたって、業界全体で横並び放送をしなければいけないのか?」は別問題。若年層に限らず、中高年層のなかにも「ほかの番組を見たかった」という人は少なくないでしょう。このあたりに潜在的な視聴者ニーズに応えきれないテレビ業界の危うさが見えるのです。

ツイッターなどSNSの動きを見ると、若年層を中心に「やっぱりテレビは面白くない」「ネットならいろいろ見られて楽しい」という極端な色分けをしていました。「テレビは中高年層が見る古いメディア」と見なされないための変化が求められているのは間違いないでしょう。

一方、テレビにとって頼みの綱である中高年層も、決して安泰とはいえません。Netflix、Amazonプライム・ビデオ、Hulu、dTV、DAZNなどの動画配信サービス、YouTubeやニコニコ動画などの動画共有サービスが、手軽に自宅のテレビ画面で見られるようになり、ジワジワと中高年齢層にも浸透しはじめています。

さらに、11月2日から4日間にわたって放送される、稲垣吾郎さん、草なぎ剛さん、香取慎吾さんの「72時間ホンネテレビ」(AbemaTV)が成功したらインターネットテレビの視聴者層が広がり、地上波のテレビ視聴者に食い込んでいくでしょう。

ただ、危険な兆候があるとはいえ、テレビ業界や各局には底力がありますし、V字回復する可能性を秘めています。その最たるところは制作力であり、社内に蓄積されたノウハウ。これを「中高年層に向けてのみではなく、若年層を虜にするようなコンテンツ作りに使っていけるか」が鍵を握っているのです。このまま中高年化の波に流されてしまうのか。それとも、波にあらがうように若年層にもリーチしていくのか。これまで以上に、テレビ業界トップたちの采配に注目が集まるでしょう。

私がテレビ業界や各番組を取材していて感じるのは、「元気で仕事のできる中高年社員が多い」こと。他業界と比較しても決して劣っていないだけに、無理な世代交代をする必要はありません。求められるのは世代交代ではなく、中高年社員と若年社員が“世代並列”すること。それぞれが強みを活かしてコンテンツ制作することができれば、幅広い世代に対応した番組ができるはずです。

毎日その話題がネット上をにぎわしているのは、いまだ日本中の人々にとって、テレビは身近かつ巨大な業界だから。その行方は少なからず、みなさんの働く業界にとっても何らかの参考になるのではないでしょうか。

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インテル中興の祖、アンディ・グローブ。数々の英断で、プロセッサー半導体市場で無双の企業を作り上げた。グローブの愛弟子である、インテル全盛期のトップが語る技術経営の神髄。