全員正社員!女子95%で成長する秘訣 クロスカンパニー 石川社長が語る女性活用

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石川 康晴 クロスカンパニー社長●1970年岡山市生まれ。94年クロスカンパニーを創業。99年に「earth music&ecology」を立ち上げ、現在では他ブランド含め、国内店舗数は約500店舗まで拡大。宮崎あおいを起用したテレビCMでも注目を集める。女性支援制度を中心とした社内制度の充実、環境活動や地域貢献活動へも積極的に取り組み、東日本大震災で被災者180人の雇用を行ったことでも話題となった。

――4時間や6時間の時短勤務制度を導入したのはなぜでしょうか。

最大のきっかけは、社員番号2番の女性社員(石川社長が1番)が結婚を機にやめてしまったことですね。彼女は創業メンバーで、いまでも彼女を超えるマネージメント能力がある人はいないぐらい優秀でしたが、「8時間労働の中で強い権限、意思決定を背負う仕事を両立できる自信がない」と言われ、引き止めることができませんでした。

その時、僕たちに制度がなくて社員に保証ができなかったために、彼女のノウハウが社内に蓄積できなかったわけです。クロスカンパニーは95%が女性社員です。しかも平均年齢は25歳とまだ若い。今後、彼女たちが結婚してママになっても会社に残ってもらうためにはどうしたらいいかと思いました。

それから同じような境遇の社員を、3人ほど会議室に呼んでヒアリングをしました。「どういう仕組みがあると仕事を辞めずに頑張れるか、今やっていけない背景には何があるのか」と聞いたら、「お姑さんが、『女は家で味噌汁を作って待っているもんだ。旦那より遅く帰るとは何事だ』と言う」なんて話が出てくるんですよ。それを覆すのはなかなかできない。

教科書どおりの制度ではダメ

だったら6時間勤務で朝9時に出勤して16時に帰れば、お姑さんが言うリクエスト、すなわち16時半にはスーパーに行って、17時半から味噌汁を炊いて、旦那さんが18時に帰ってくるのを待ち構えられるんじゃないのかと。そしたら「そんなことができたら、頑張れます」という返事をもらった。それで2011年8月からまず「6時間正社員」の制度を導入しました。

一番のポイントは、教科書に書いてある制度を持ってきたのではなくて、社員の声を繰り返し聞き続けたということです。各企業には様々な文化があるので、まずは内部に存在する不満を持っている社員を、何度も何度もインタビューするところから制度設計は始まります。これをしないかぎり、企業文化にマッチしない使用率の悪い制度になってしまいます。

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