女性用エステで増す「男性施術師」の存在感 男性ならではのアドバイスも人気 

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サロンで勤務する「従業員」だけではなく、個人で開業するケースも多く、「エステティシャンとして働いている人の実態数、男女比の公式データはない」(日本エステティシャン協会)が、日本で最近、「男性の数は増えてきた」(同)という。ただ、そもそも、女性と同様、昔から存在していたという。欧州でも男性エステティシャンは多く、世界でみると「決して特別ではない」と指摘する。

日本で男性エステティシャンが増加した背景は、同協会によると、1つは、エステティシャン養成校が男性を受け入れるようになったこと、もう1つは、男性の美容意識が高まったことがある。

リーマンショックも引き金に

2008年のリーマンショックが転機になったとの見方もある。直後の景気後退のあおりを受け、大手のエステティックチェーンや養成学校が相次いで経営破綻。養成校はかつて、生徒が互いに練習台になることから、男性の受け入れを認めていなかったが、受講生が減り、男性にも門戸を開くようになったのだ。

「エステサロンが価格破壊に見舞われていることも一因」と指摘するのは、金澤氏だ。マンションの一室で気軽に起業できるエステサロンは、リーマンショック前は開業も相次いだが、リーマンショック後は開業を上回る数の店舗が閉鎖に見舞われたといわれる。かつては高額なイメージもあったエステだが、顧客獲得のための値引き合戦が広まった。

「価格破壊が起こったことにより、女性のエステティシャンにとっては労働時間や体力面など、ハードになり、女性の業界離れが進んだ」(金澤氏)

ここ数年は景気も回復基調でエステ需要も高まったが、サロンは人材不足。そこに、かつてはまれだった男性エステティシャンの姿が目立つようになった。

都内でエステサロン「クレードル」を経営する、エステティシャンの土岐忠さんはこう説明する。「男性向けエステサロンも増え、『エステティシャンの仕事も面白そう』と思う人が出てきた。10年前だったら、そういう人も学ぶ機会がなかったけれど、今は学校もあり、プロを目指すことができる」。

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