カズオ・イシグロ氏がノーベル文学賞の栄誉

長崎生まれの英国人作家が巨匠の仲間入り

カズオ・イシグロ氏が2017年のノーベル文学賞を受賞することになった(写真:ロイター/アフロ)

[ストックホルム 5日 ロイター]スウェーデン・アカデミーは5日、『日の名残り』などで知られる日系英国人作家、カズオ・イシグロ氏に、2017年ノーベル文学賞を授与すると発表した。日本生まれのイシグロ氏は、米アカデミー賞候補の映画にもなった『日の名残り』で、1989年にブッカー賞を受賞。スウェーデン・アカデミーはイシグロ氏が、「世界とつながっているという幻想的な感覚にひそむ深淵(the abyss beneath our illusory sense of connection with the world)」をあらわにしたことを受賞理由に挙げた。

900万スウェーデン・クローンの賞金が贈られるこの賞は昨年、米国人歌手のボブ・ディラン氏に授与されたが、今回はより本流の文学に近い人物が受賞することとなった。

多くの要素を少しずつ混ぜ合わせるとイシグロになる

アカデミーは、幼少時に英国へ移住したイシグロ氏の作品は、過去の記憶や時間、そして自己欺瞞に触れていると評価。「彼の作品は、ジェーン・オースティンと、マルセル・プルースト、そしてフランツ・カフカが少しずつ混ざったようなところがある。これらの要素をたくさんではなく、少しずつ混ぜ合わせると、簡単に言えばイシグロになる」と、アカデミーの事務次官、サラ・ダニウス氏は話す。

イシグロ氏は、1980年代に処女作『遠い山なみの光』で脚光を浴び、戦後の英国貴族邸と執事を描いた『日の名残り』で世界的にその名を知られるようになった。同作品は、アンソニー・ホプキンスと女優のエマ・トンプソンの主演で映画化もされた。

文学界のおける最高峰の賞を受賞することによってイシグロ氏は、アレクサンドル・ソルジェニーツィンやドリス・レッシング、アーネスト・ヘミングウェイなど文学界の巨匠の仲間入りを果たすことになる。

昨年、ディラン氏に文学賞を授与したことについて多くの文学批評家からは、より伝統的な文学の世界にノーベル賞にふさわしい作家が多くいるとする批判の声が上がっていた。

科学、文学、そして平和に対する功績に与えられるノーベル賞は、ダイナマイトの発明者でビジネスマンであったアルフレッド・ノーベルの遺志により創設され、1901年から授与されている。

(執筆:Simon Johnson記者、Justyna Pawlak記者)

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