42歳シングルマザーに訪れた「想定外の出産」 最初の結婚10年、シンママ10年、そして…

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14年ぶりに子どもを産んだ佐知子さん。その目に浮かんだのは、自分が他界した後の子どもたちの姿だった。

「私が死んだら娘は天涯孤独になってしまうと思っていました。幸いなことに弟ができたので、将来も協力してなんとかやっていけるのではないでしょうか」

義弘さんとの夫婦生活は今のところ順調である。毎日の料理にも「ありがとう」と言ってくれる夫に対して、佐知子さんも感謝の気持ちを言葉にすることを忘れないようにしている。

お互いに「前回の反省」を生かしている

佐知子さんには1回目の結婚での反省がある。子育てと仕事に必死すぎて、夫としっかり向き合えなかったという点だ。

「今回のほうが丁寧に夫に接することができていると思います。ご飯はきちんと作っているし、夫の仕事の愚痴も聞いてあげられていますから。ケンカをしそうになっても、のど元まで出かかった言葉を呑み込めるようになりました。夫婦喧嘩は勝負の白黒をつけないことが大事ですよね」

同じく離婚経験がある義弘さんも「前回の反省」を生かしているのかもしれない。感謝の言葉を口にするだけでなく、掃除やゴミ出しなど、自分ができることを率先してやっている。血がつながっていない中学生の娘に対しては、「会社の若い子よりもさらに若い子」という感覚で接しているらしい。面倒を見すぎてウザがられることもあるが、めげない。娘がクラブ活動の際は車で送り迎えをしてくれている。

娘も新しい状況を受け入れたのだろう。ゼロ歳児の弟をお風呂に入れてあげたりしている。

「この年齢になると同級生に孫がいる人もいますよね。私と娘と息子で喫茶店のモーニングに行ったとき、娘が息子を抱いていたら、近くに座っていた老婦人から『まー、かわいい赤ちゃん。目元がおばあちゃんにそっくりね』と言われたことがあります。私はおばあちゃんではありません」

インタビュー取材場所であるカフェのソファ席で息子をあやしながら快活に笑う佐知子さん。その表情にはいろんな意味での余裕を感じる。友人たちと助け合いながら必死で子育てと仕事を両立してきた10年間で、佐知子さんの経験値は大いに高まったのだろう。大人1人でもちゃんとやってこられたからこそ、大人2人になった今を楽しめるのかもしれない。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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