IoTで描く働き方の未来

今、「働き方」への意識が高まり、大きな改革の流れが起きつつある。こうした中、新たな取り組みがスタートし注目されている。2017年1月、総合電機大手の日立製作所と世界最大級の総合不動産サービス会社ジョーンズ ラング ラサール(JLL)は、あらゆるモノがネットにつながるIoTを活用した事業で提携すると発表した。最先端テクノロジーとグローバル不動産サービスのノウハウが融合することで生まれる、新たなサービス提案に期待がかかる。提携の背景や狙いについて、ジャーナリストの福島敦子氏がモデレーターになり、日立製作所執行役常務の小林圭三氏、JLL日本法人社長の河西利信氏がディスカッションを行った。

日立製作所とJLLが提携しIoTで働き方改革を提案

ジョーンズ ラング ラサール
代表取締役社長
河西 利信
TOSHINOBU KASAI
JLL日本法人代表取締役社長 一橋大学卒。1985年大和証券株式会社に入社。 1999年ゴールドマン・サックス証券会社にて投資運 用に従事。2012年よりJLL日本法人の代表取締役 社長に就任

福島 今、働き方改革がクローズアップされています。長時間労働の是正だけではなく、少子化時代に入り、人材不足が深刻になっていることや、また、かねてより日本企業の課題と言われてきた労働生産性の低さをどう改善するかという観点からも働き方改革の重要性が指摘されています。

こうした環境の中、日立製作所の持っている最先端のIoTの技術と、JLLのグローバル不動産サービスを融合させてJLLがアジア・太平洋地域に向けて提供する不動産サービスを向上していくために事業提携をされました。どういう狙いがあるのでしょうか

河西 従来の不動産は、たとえばオフィスであれば、いわば人を収容する箱として考えられてきました。そこでは画一的に机を並べて、何名が収容できるのかという観点からしか見ていなかったのです。

ところが最近では、不動産が企業の生産性や価値を向上させるための、大切な経営資源の一つであるという見方に変わりつつあります。従業員が生産性を高く、創造性を発揮して働くためにはオフィスはどうあるべきか、さらに、近年注目されている働き方改革を実現していくためにはどうすべきか。今までの不動産の枠を超えた次世代のサービスの提供が求められる時代に変わってきました。

そういったお客様のニーズに応えていくためにはIoTなど最新のテクノロジーの活用が不可欠です。そこで、この分野で最先端のノウハウ、テクノロジーを持っている日立製作所(以下、日立)の力を借りながら、お客様によりよいサービスを提供させていただきたいというのが事業提携の背景です。すでに、シンガポールで実証実験も開始しています。小林 日立は今、「IoT時代のイノベーションパートナー」となるべく、お客さまの経営課題を発見し、協創により迅速に解決するためのIoTプラットフォーム「Lumada(ルマーダ)」を開発しました。

JLLとの実証実験においても、このLumadaを活用しています。具体的には、JLLと日立、日立アジアの3社で、シンガポールにある日立アジア本社ビル内のオフィススペースにセンサーを設置して、これまで人手に頼っていたデスクや会議室、そのほかのオフィススペースの利用状況など、さまざまなデータを収集するとともに、AI(人工知能)を利用して、オフィス利用最適化の分析を実施しました。

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