IoTで描く働き方の未来
日立製作所とJLLが提携しIoTで働き方改革を提案
福島 今、働き方改革がクローズアップされています。長時間労働の是正だけではなく、少子化時代に入り、人材不足が深刻になっていることや、また、かねてより日本企業の課題と言われてきた労働生産性の低さをどう改善するかという観点からも働き方改革の重要性が指摘されています。
こうした環境の中、日立製作所の持っている最先端のIoTの技術と、JLLのグローバル不動産サービスを融合させてJLLがアジア・太平洋地域に向けて提供する不動産サービスを向上していくために事業提携をされました。どういう狙いがあるのでしょうか
河西 従来の不動産は、たとえばオフィスであれば、いわば人を収容する箱として考えられてきました。そこでは画一的に机を並べて、何名が収容できるのかという観点からしか見ていなかったのです。
ところが最近では、不動産が企業の生産性や価値を向上させるための、大切な経営資源の一つであるという見方に変わりつつあります。従業員が生産性を高く、創造性を発揮して働くためにはオフィスはどうあるべきか、さらに、近年注目されている働き方改革を実現していくためにはどうすべきか。今までの不動産の枠を超えた次世代のサービスの提供が求められる時代に変わってきました。
そういったお客様のニーズに応えていくためにはIoTなど最新のテクノロジーの活用が不可欠です。そこで、この分野で最先端のノウハウ、テクノロジーを持っている日立製作所(以下、日立)の力を借りながら、お客様によりよいサービスを提供させていただきたいというのが事業提携の背景です。すでに、シンガポールで実証実験も開始しています。小林 日立は今、「IoT時代のイノベーションパートナー」となるべく、お客さまの経営課題を発見し、協創により迅速に解決するためのIoTプラットフォーム「Lumada(ルマーダ)」を開発しました。
JLLとの実証実験においても、このLumadaを活用しています。具体的には、JLLと日立、日立アジアの3社で、シンガポールにある日立アジア本社ビル内のオフィススペースにセンサーを設置して、これまで人手に頼っていたデスクや会議室、そのほかのオフィススペースの利用状況など、さまざまなデータを収集するとともに、AI(人工知能)を利用して、オフィス利用最適化の分析を実施しました。