アマゾン「法人向けEC」はケタ違いの破壊力だ 商品数は2億超、アスクルやモノタロウを圧倒

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アマゾンビジネスは2015年3月に米国で始まった。利用には無料のアカウント登録が必要だが、米国では今年、そのアカウント数が100万を突破。現在はドイツ、英国でも展開しており、日本は4カ国目となる。

日本でのサービス開始にあたっては、月末の請求書払い以外にも、税込み価格に加え、税抜き価格を商品ページ、請求書、領収書に表示する機能も設けている。「(税制や商習慣など)各国の違いをきちんと理解し、仕組みの開発を行うのには時間をかけた」(星本部長)。

企業などの調達コスト削減に直結

法人向けECの潜在需要は計り知れない。経済産業省の調査によると、2016年の国内EC市場規模は、個人向けが約15兆円だったのに対し、法人向けは約291兆円と、実に20倍近い差がある。この金額はいわゆる「モノのネット通販」だけの規模を表す数字ではないとはいえ、個人向けEC以上のビジネスの広がりが期待できるだろう。

左から星健一本部長、アマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長、全世界のアマゾンビジネスを統括するバイスプレジデントのスティーブ・フレイザー氏(記者撮影)
 

「ものすごく大きな市場が広がっているのに、EC化は(オフィス向けなど)部分的にしか進んでいない。すべての事業者に満足してもらえるようにサービスを作り込んでいく」。星本部長はそう意気込みを語る。

実際、法人や個人事業主の購買には、さまざまな課題があるようだ。今回、アマゾンビジネスを導入し、会見のパネルディスカッションに登壇した大阪大学の佐藤規朗・財務部長は現場の苦労を語った。

「大学で(資材購入先として)登録されているサプライヤーは1万5000社、直近取引があるところだけで7700社も存在する。独自に構築した調達システムがあるが、それを使わずに代金を立て替えて購入されるものもあり、精算にかかる時間的なコストは計り知れない」

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